現在はYouTuberとしても人気を集めている横田真一だが、レギュラーツアー時代の2011年4月から順天堂大学大学院医学研究科に進み、ツアープロと学生の二足のわらじを履いていた。その成果が、「コマツオープン」初日に役立つ。4バーディ・ボギーなしの「68」で回り、今季自己最高となる4アンダー・3位タイで滑り出し。今季6試合目で初の一桁順位発進となった。
大学院時代の修士論文のテーマは『プロゴルファーにおける自律神経とパフォーマンスの関係』。自律神経は感神経(興奮)と副交感神経(リラックス)から成っており、どちらもバランス良く働かせないと良いパフォーマンスを発揮できない。「先々週はカートに乗って甘やかして、先週は台風が来てゴロゴロしていた」。2週前の「マルハンカップ 太平洋クラブシニア」はカートでのラウンドが認められており、その翌週は台風の影響であまり外に出ることもなく、完全に副交感神経優位のリラックス状態だったのだ。
「体が重い。今日の朝はスイングがひっちゃかめっちゃかで、この10年で一番調子が悪いくらい」。緩みきった感じはスタート前まで続いていた。交感神経を少しでも上げようと前日は「30分のジョギング」を敢行したが、あまり効果はなかった。ではなぜ好スコアが出せたのか?
「マジで気合い(笑)。気合いでダラダラだった体がキュッと締まるから」。精神論にも聞こえるがしっかりとした理論に基づいている。そして、気合いだけではなく、「ここまで調子が悪かったので、ちょっと楽しみだと思った」とポジティブ思考に切り替え、「めちゃくちゃ慎重にセットアップした」ことで、ボギーフリーのラウンドにつなげた。しかも18ホールでパーオンできなかったのは2ホールだけで、「どっちもパタローチだから」とカラーからパターでアプローチ。ピンチらしいピンチはなかった。
レギュラーツアーで2勝を挙げた横田だが、シニアツアーは参戦3年目でまだ優勝はない。「頑張ります。淡々とやります」。出場87人中、半数以上の45人がオーバーパーを叩いた難コースで、「大学院に行って良かった」と再び証明したい。