今年の元旦に能登半島を襲った能登半島地震発生から約8カ月。石川県の小松カントリークラブで「コマツオープン」が開催される。かつて『北陸の怪童』と呼ばれた石川県小松市出身の川岸良兼が特別な思いを胸に大会に臨む。
仮設住宅の建設は進んでいるものの、いまも避難所での生活を強いられる人たちはいる。「何メートルも隆起したところを僕にはどうすることもできないし、ゴルフを頑張るしかない。ニコニコしながらゴルフをして良いスコアで回るしかない」。川岸はそういって満面の笑顔を浮かべる。
神奈川県横浜市に住んで長くなるが、故郷への愛着は今も変わらない。「良いところですよ。冬はカニとかブリとか魚は美味いしね。夏はフェーン現象で暑いけど、お米もお水も美味しい」。石川県の魅力をアピールするだけでなく、2月12日には自らが発起人となって、「能登半島地震復興支援プロアマチャリティゴルフ」を千葉県のマグレガーCCで開催した。
このチャリティイベントには、川岸親子や今野康晴、鈴木亨、村口史子らプロゴルファー17人を含む85人が参加。チャリティオークションには川岸親子のサイン入りキャディバッグをはじめとするゴルフ関連グッズに加え、ヤクルトスワローズの村上宗隆のサインボールなどが多数出展され、似顔絵コーナーの収益金の一部などと合わせ133万4600円の復興義援金を集めることができた。
今大会は7回目の出場で、2018年には2位に入っている。しかし本人は「グリーン周りが下手だから」と、成績をそこまで追い求めるつもりはない。「50歳になった頃は目の色を変えてやっていたけど、最近はのんびり楽しく。『下手くそー』ってツッコんでもらいたい。そうしたらしっかり返すから(笑)」。57歳が1打1打真剣に取り組む姿を、そしてゴルフを楽しむ姿を見てもらいたい。