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シニアツアー お知らせ

〔コマツオープン/前日〕前年覇者の久保勝美 昨年つかんだパットの神髄で目指すは連覇ではなくグランド賞?

2024年09月04日
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国内シニアツアーは明日から3日間の日程で石川県の小松カントリークラブを舞台に「コマツオープン」が開催される。シニアプロ84名、アマチュア3名が同じフィールドで戦いに挑む。賞金総額も1000万円上がり、7000万円に増額。優勝賞金は1500万円とこちらもビッグな賞金配分になった。昨年のチャンピオンは当時61歳だった久保勝美。最終18番パー5をバーディで締めて宮本勝昌と飯島宏明を1打差で振り切り、8年ぶりとなるシニア2勝目を挙げた。「一緒に回っていた崎山(武志)に助けられた」と本人は振り返る。

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14番、15番を連続バーティとして迎えた上がりの3ホール。「16番パー3はピンの右に10メートルくらいのところに乗ったんですけど、同じ組の崎山が自分の少し外に乗ってラインを見せてもらった」。3パットの危険もあったが、16番はパーで切り抜ける。

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番パー4のセカンドも同じような位置から先に崎山が7番アイアンで打ってピンの横くらいだった。それで8番を持っていたのを、急きょ7番に持ち替えて3メートルくらいについた」。オフには一緒にラウンドしたり、プライベートでも親交のある同い年の崎山の距離はよく分かっている。そのバーディパットは入らなかったが、8番アイアンで打っていたら、もっと重圧のかかる距離が残ったかもしれない。

最終18番パー5で久保の3打目は残り25ヤード。「58度でずっと素振りをしていたんですよ。そうしたら先に崎山が打ってポッコンと全然ショートした。ポッコンは嫌だなと思って52度で転がした方がいいなと」。ロフトのあるクラブはフェースに乗らずに上がりすぎてしまうことがある。そのミスが出にくい52度に持ち替えたことで、ピン上1.5メートルに上手く寄せ、バーディフィニッシュで優勝を決めた。

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「あれは助けられました。崎山本人には言ってないけど」と久保は笑う。優勝のプレッシャーがのしかかる上がり3ホールで冷静な状況判断が光った。

久保のゴルフは「ティショットもセカンドも含めて無理をしないように。ボギーを打たないように」というセーフティなマネジメント。グリーンセンター狙いが基本でむやみにピンには打たない。

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実際、前回大会では3日間でスコアを落としたのは最終日の13番パー4だけ。最終日はティが前に出されてワンオン可能な287ヤードのパー4に変わる名物ホールで、ティショットをレッドペナルティーエリアに打ち込んでのものだった。ほかの53ホールではボギーなし。「そんなに無理しなくてもセカンドはグリーンにヒットしていれば、3パットはあまりないので、パーかバーディになる。長いのが入ったりするのでね」と久保は話す。

特に昨年9月はパッティングが好調だった。前回大会の翌週行われた「日本シニアオープン」では9位入り、その2週後の60歳以上の日本一を競う「日本プロゴルフグランドシニア選手権」では優勝を飾っている。

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「去年の8月辺りにお客さんとラウンドレッスンをしたんですよ。あまりにパッティングが下手なので、いくつかアドバイスをしたら、スコスコ入るようになっちゃって。腕の五角形を崩さないとか、手首のムダな動きを抑えるとか、肩でストロークするとか、基本的なことです。自分も基本に戻って意識しだしたらすごくパッティングが良くなりました」

グリーン上では打ち出したいラインにボールに描いた線を合わせる。その線に構えたらあとは肩を動かすだけ。シンプルな思考に変えたことで「優勝争いのしびれているときでも手で打ってないから動いてくれるんですよ」と久保。今でもパッティングの調子が悪くなると、基本に戻るようにしている。「戻る場所があれば深みにはまらない」という。

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今年のシニアツアーはともに50代前半の宮本勝昌が2勝、片山晋呉が1勝と圧倒的な強さを見せている。連覇がかかる62歳は「パワーとかスピードとか精度とかメンタルとか、トータル的に見て優勝なんてとんでもない。良いゴルフをして10位でしょうね」と諦め気味。さらに、「グランド賞を獲りたいですね」と60歳以上の優勝に目標を切り替えている。今季は5試合を終えてまだトップ10がないが、イメージの良い今大会を浮上のきっかけとしたいところだ。