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今回最終プロテストではティーチングプロ会員(TCP)によるプロテスト選考会を経て、最終プロテストからの出場資格を獲得した佐藤一成が大健闘した。
佐藤は今年3月で50歳という節目を迎えた。これまでプロテストの参加回数は「たくさん出場した」というほどプロテストに挑戦を続けており、今年は選考会でトップ通過を果たして片山津入りした。
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選考会をトップ通過してからというもの、目標は「ティーチングプロのスキルは低いレベルじゃない」ことを結果で示そうと練習を積み重ねる日々を送った。
今年の最終プロテストは、第3ラウンドを終えて「73」「69」「71」の通算イーブンパー。この時点でカットラインに当たる順位は5オーバー50位タイ。スコア貯金にも少し余裕があった。
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最終ラウンドは10番ホールから始まり2連続ボギーが先行。「だんだん自分の身体じゃないような感覚に見舞われてきました。クラブを振るしかないのに力が入らない。パッティングも定まらない。これがプロテストなんだ」と実感した。14、15番でも連続ボギー。早くも貯金が底をついた。続く16番ではバーディーを仕留め、トータル3オーバーにしてバックナインに向かった。
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それにしてもチャンスが作れない。バーディーを獲るには攻めるプレーが必要だった。折り返しの4番ホールでは焦りから、セカンドショットを大き目のクラブで打ったら、この時ばかりはグリーンオーバーするミスチョイス。結果ボギーにしてしまった。
「4オーバーになってから、チャンスホールが少ないこともあって、焦りました。ただ自分のゴルフはドライバーで確実にフェアウェイへボールを置き、グリーンオンしなくても得意のショートゲームでカップインを狙うことでした」と振り返った。同組の受験生は20代ばかりで、飛距離に差がついてしまうことは明らかに大きな違いだった。
とにかく我慢した。バックナインの後半はパーセーブを維持しようと決めた。最終の9番では「残り1ホール」と集中力を高めてパーパットを沈めた。「30年くらい寿命が縮まったかと思った」と言わしめるほどの緊張感だった。
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72ホールを終えアテスト場につくと、佐藤が必死で守った4アンダーは合格圏内にあることを知った。悲願のプロテスト合格をし、ティーチングプロとトーナメントプレーヤーの二種類のライセンス資格を手に入れることができた。
「長い4日間でした。コースも長く自分の飛距離では到底パーオンは厳しいと。だからショートゲームでしっかりと現状維持を守れました」と振り返った。この4ラウンドで合計100パット。一日平均は25パットだったので、ラウンドでどれだけ1パットカップインが多かったかがわかる。これもシニアと言われるまで諦めずに続けた練習のたまものだ。
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「50歳を迎えて、プロテストに合格ですよ。嬉しいです。これもシニアツアー参戦に向けて大きな足掛かりになります」と穏やかに微笑んだ。来月には日本シニアオープンへの出場も決まり、楽しみにしていたシニアデビューを飾ることになる。「仲の良い先輩は待ってるよ、早く来なさいっていうんですよね。ただトーナメントプレーヤーに合格してライセンスを持っていないとだめだからって、冗談もきつい」と笑った。佐藤はこれまでのレッスン活動に加えて、技術の高さを証明できたことで、これからもプロゴルファーの可能性と幅を広げていく。
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