レギュラーツアー3勝を挙げ、今年から日本シニアツアーに参戦している韓国出身”トラさん”こと崔虎星(50)が、持ち前の爆発力を発揮して最終ラウンドで猛チャージ。優勝には1打及ばず2位に終わったが、大会を大いに盛り上げた。
今季シニア4戦を終え常にトップ10入りと強さが光るトラさん。独特のスイングと喜怒哀楽をパフォーマンスで表す人気選手のひとりである。そんなトラさんにも悩みがある。「不眠症なんです。いつも少ししか寝られない。だけど昨日は4時間も睡眠がとれたから、体調ばっちりでした」と告白。シニアツアー初優勝を目指し、意気揚々と会場入りした。
第1ラウンドでは3連続を含む7つのバーディーと3つのボギーで4アンダー14位。最終ラウンドは前半で4つスコアを伸ばし、一気に優勝争いへ絡んできた。そこへ降雨による中断のエアホーンが鳴った。予期せぬ約90分間の中断に「体調管理が難しいですよね。後半どうなるかわからなかったけど、自分を鼓舞して気持ちを引き締めました」と振り返る。
中断後の10番パー4で3メートルのパーパットを入れて窮地を凌いぎ「いけるぞ」と自信をのぞかせた。16番パー5ではティーショットのドライバーを渾身の力で振り切り320ヤードのロングドライブを披露。雨の中でも集中力を切らさずにこのホールをバーディーとすると、17番でも連続バーディー。3連続を仕留めれば逆転優勝という流れでつけた1.5メートルのバーディーパットは、ストレートラインをスライスと読み違えてしまいパーでフィニッシュ。それでも単独2位の成績には「すばらしいですよ」と満面の笑みで自分を褒めた。
「いつ優勝できるかなと毎試合思いながらプレーしています」と目を輝かせる。「いつも秋からゴルフの状態が上がっていくので、この調子で頑張りたい」と言葉を弾ませた。「日本大好き」とツアー生活を楽しむトラさんは会場でたくさんの声援を受けて、これからもシニアを盛り上げてくれるはずだ。