関西が2022年以来、5回目の優勝を飾った。昨年大会は5位の関西地区。最多勝利数4というチームのプライドをかけてリベンジを誓い、今年は本領を発揮。関西女子ペアだけで103ポイントと、中国女子ペアと40ポイントの差を付けて、後半の男子ペアに勝敗をゆだねた。関西男子ペアも奮闘し198ポイントvs150ポイントと関西ペアが圧勝した。3位決定戦は四国が東北を下した。5位決定戦では九州が中部を破った。7位決定戦は関東が北海道を上回り、順位が確定した。この日6番パー3(185ヤード)で九州地区の関野雄希が5番アイアンでホールインワンを達成し、太平洋クラブより記念品が贈られた。
1回戦、2回戦は9ホール対決ということもあり全力で戦うことが求められたが、大会最終日の順位決定戦ではメリハリの必要な18ホールで競われた。スタート前、関西チームの林大作コーチは「解説者のように客観的になってコースマネジメントをするように」と選手にアドバイス。プレーの流れを見定めて流すところは流す。獲りにいくところはしっかり獲りにいく。凝り固まったマネジメントにとらわれずに、まずはニュートラルな状態でプレーを組み立ててほしいという願いが込められていた。順位を左右する18ホールのゲームが始まった。
優勝タイトルをかけた争いでは、関西女子は先発で出場した後藤/赤松ペアと中国の祇園/藤安ペアが共に11アンダーでオールスクエアというハイレベルなゲームを展開。関西3組目の岩永/佐藤ペアも11アンダーとし、このマッチで34ポイントとハイスコアをゲット。関西女子だけで103ポイントを量産した。
中国男子は中本/髙山ペアが11アンダーとリードしたが、関西男子の谷川/福原が12アンダーを叩き出して29ポイントを獲得。最終組では中国の久常/三瀬が9アンダー、関西の大西晃/大西翔が10アンダーと関西が好ゲームを制し、中国と48ポイント差をつけて優勝を飾ったのだった。
決定戦のスタート前には中国地区の選手が「PGAジュニアがもう終わっちゃう。来年も出場したい」とコーチに頼み込む姿も見られた。2018年からスタートしたジュニア選手権は中学生、高校生を出場対象にしているが、2019年に始動したジュニアリーグでは、9歳から13歳が参加条件になっている。7回目の開催となったジュニア選手権は、ジュニアリーグを卒業してから選手権に出場する選手も現れるようになり、年月の流れを感じるのと同時に、チームプレーを通じて成長する姿が見られる。夏休みに開催される数多くのジュニア大会はストローク重視で争われるが、PGAジュニア選手権はペアで戦い、チームに貢献することが求められ、他の競技とは一味違う魅力がある。だからこそ「来年も出場したい」と監督、コーチに申し出る選手が毎年増えている。
大会2日間を通じてこれまで個人戦ばかりだった選手は、チーム戦で助け合い、励まし合うことを知り、一回りも二回りも大きな成長を見せた。PGA会長の明神正嗣は「大会ではスクランブル方式を採用しているので、ストロークプレーとは違ったチームプレーの中で、選手同士がコミュニケーションを図り、ゴルフを通じた人間形成を大切にしてもらいたい。今年も参加してくれた選手も多いですし、この大会から人気のプロゴルファーが輩出されていることも嬉しい限りです」と大会の意義を説明している。
太平洋クラブ河本副社長は「ひとりひとりの力が合わさって128名の努力が集結しました。選手みなさまの将来については、ゴルフ業界でも他業種に就いても、特に夢を持って、夢に向かって努力してほしい」と今後の活躍に期待を込めた。本大会はゴルフを通じて子供たちの夢をサポートするという位置づけでもある。
全チームが全力で戦い抜いたジュニア選手権。灼熱の暑さの中、第7回大会の優勝「関西地区」は全員がウォータシャワーを浴び、太平洋益子で夏休みを楽しみ抜いた様子だった。