第1ラウンドを5バーディー・ボギーフリーでホールアウトした岡茂洋雄(55)は「久々のシニアツアー、楽しんでプレー出来ましたよ」と明るい表情を見せた。内容だけ見ると完璧なゲーム運びだが、本人曰く「パターが鬼のように決まった」と笑う。それもそのはず。10メートル近いロングパットが2つ、5メートルのミドルパットが2つ、もうひとつのバーディーは外からのアプローチチップインとゴルフの神様も味方してくれたようだ。岡茂は昨年、今年と予選会通過を叶えられず、今回は主催者推薦での出場機会を得ることができた。数少ないシニアツアー出場のチャンスにかけて、楽しく正々堂々とゲームを戦い抜いたのだ。
北海道との相性は悪くない。レギュラー時代には2010年のANAオープンで4位に入る健闘を見せるなど、洋芝への対応も順応することができている。岡茂にとって不安要素は、ドライバーイップスが完治しないこと。「こればかりはね(笑)。今日同組でプレーした遠藤正人プロがTPIレベル3の資格を持っているから、ラウンド後にスイングを診てもらえることになったよ」と表情も明るい。
遠藤が渡米して獲得したTPIとは「タイトリストパフォーマンスインスティテュート」の略で、ゴルフメーカーのタイトリストがクラブやスイング、そしてフィジカル的にゴルフに最適なパフォーマンスを引き出すための理論を、研究、習得したものに与えられる資格のこと。ラウンド後に岡茂は、遠藤にスイングチェックをしてもらうことで、また新しい学びを得た様子だ。「海外のゴルフ理論は英語というフィルターがあるので、日本にはなかなか情報が入ってこないのですが、遠藤プロの習得されている理論を知ることができて、これからのプロゴルファー活動に影響がありそうですよ」と、充実感をにじませた。
岡茂には吉報を届けたい仲間がいる。同郷の広島出身で、プロ入り16年目で日本プロ優勝を飾った河井博大。実は昨年実家を継ぐことを決意し、プロゴルファーの舞台から降りているのだ。「今回の試合出場前にも河井に会いに行ったけど、精力的に今の仕事を頑張っている。そんな彼の真面目なところは頼もしかったしね、僕は僕のできることを精一杯やってみますよ」と岡茂は目を細めた。
岡茂は2020年シニアツアー賞金ランキング3位で海外シニアメジャー出場も経験し、まだまだシニアツアーでの活躍を諦めることができない。「今年の一次予選会も通過できませんでしたが、この試合で好スタートを切れたチャンスもそうだし、日本シニアオープンでしっかり結果を残したい」と口を結び、遠方にいる仲間へ思いを馳せたのだった。