「倉本招待イーグルカップ」の出場シニアプロ84名中、グランドシニア世代といわれる60歳以上は倉本昌弘含め15名もの選手が参戦しているが、50代、60代、70代が同じフィールドで競い合えるのがゴルフの魅力。全員が心身ともに元気な証拠だ。
第1ラウンドでは60代以上で健闘を見せた加瀬秀樹(64)が、4バーディー・1ボギーの3アンダーは東聡(63)、久保勝美(61)らと並んで3アンダー10位タイと好スタートを切った。
「昔ラウンドしたことを思い出しながらね。このコースは風が強いし、苦しみながらプレーしました。恐る恐るやったのが良かったのかもね」と肩の荷を下ろした。シニア入りして15年の加瀬は、レギュラー時代には同コースで開催された2002年サン・クロレラの第2ラウンドで63をマークし単独首位に立った経験もある。札幌オープンにもたびたび参加しており、北海道との相性は悪くないと感じている。
183センチという長身の加瀬は、コースで大きな存在感を知らしめている。レギュラー4勝、シニア3勝を挙げており、豪快なドライバーショットが武器。ダイナミックかつ繊細なゴルフスタイルが魅力でもあるが、一方では鋭いプロ目線で解説するプロトーナメントリポーターとしても活躍中である。
そんな加瀬にも最近は悩みがあるという。「クラブの重さとか、硬さとかずっと自分のこだわりがあったんだけど、もう硬いクラブはダメなんだと気づいてね。力感がまけてしまうんだ。最近は少し軽くして、ちょうど良い感覚をまだまだ手探りしてる」とクラブ調整していると打ち明けた。これまで使っていたドライバーのXシャフトからSへ、重さも70グラムから60.50グラムと、以前とは全く違う打感、振り抜くタイミングに戸惑いながら、今の年齢や体力に見合ったものを求めて、試行錯誤を繰り返す日々だ。
「毎回、反省と改善を繰り返して、次こそは良くなるようにと実践あるのみ。自分のゴルフを思い出しながら、マッチするクラブに出会えるといいね」。プロゴルファーとしてレギュラー、シニアでは第一線で活躍を続ける加瀬が、60歳を過ぎても新たな挑戦を示してくれる。魅せるプレー、そして自分にとって心地よいプレーを目指す前向きな気持ちは、とどまるところを知らない。