「今年はキャリアベストを更新したい」と目標を掲げて日本プロに挑んでいるのが、今季レギュラーツアーシード選手の小浦和也・31歳。PGA入会は2016年。2020年には結婚し、子どもにも恵まれた。一見順調にプロ人生を謳歌しているようにみえるが、思うようにいかないのがプロの世界。それでも「ゴルフができるだけで幸せですから」と話すのには理由がある。
小浦は大学時代に難病といわれる「突発性血小板減少性紫斑病」(血小板が減少して血が止まらなくなる)を発症し、病気と向き合う生活が始まった。長く付き合っていく病気だけに、こうやって試合に出られることを名一杯楽しんでいることが、毎試合毎試合、見ている側に伝わってくるのだ。
小浦は第1ラウンドを15位、第2ラウンドは10位と少しずつ順位をあげ、昨年の日本プロ22位から、キャリアベスト更新を目指している。第3ラウンドは途中の4連続を含む6バーディー・2ボギーの68をマークして、通算10アンダーは10位タイとまずまずの位置に着けられた。
2番パー5で2オン2パットのバーディーでスタート。5番をボギーにしたが6番ではセカンド残り160ヤードを1ピンにつけてバウンスバックに成功。ショットの手ごたえを確かめながら後半に入った。10番パー4では8メートルをバーディーで口火を切ると、11番は2.5メートル、12番2メートル、13番1メートルとショットの精度がぐんぐんと上がり4連続バーディーで上位に浮上。後半は14番ホールから難易度が上がり、小浦はチャンスを作れずに、18番ではティーショットを左ラフに入れてのボギー。最終的には4アンダー68、通算で10アンダーととりあえず目標の2桁アンダーにしがみついた。
「ラフがかなり伸びてティーショットを入れると本当にしんどい。恐る恐る、逃げて逃げてって打っている感じ(笑)。ティーショットの精度を求めて今日は2、9、18番しかドライバーを使えなかったです」とゲームを振り返った。我慢を強いられながらも、スコアを伸ばしあうゲーム展開。その上に季節はずれの暑さも加わり、気力体力ともに消耗が激しい。それでも小浦は「あともうひとふんばりというところです。今年の目標はキャリアベストを更新すること。去年より今年とアップデートしていきたい」と気持ちは次のステージに向けている。
31歳というひとつの落ち着いた世代を迎えたことについては「プロ入りしてからあっという間ですね。ツアープロになって10年目でもあります。これから海外を目指しても遅くないと思っていますし、アジアから世界に挑戦することが最終的な目標なんです」と力強く口にする。
小浦は専修大学出身で、先週全米シニアオープンで活躍した藤田寛之は先輩。「テレビやネット観て全力で応援していました。順延していなかったら勝てたのかなとか。プロゴルファーにとって勝負どころの難しさを改めて感じました」と藤田が海外に挑戦する姿が目に焼きついていたようだ。
そして残りの最終ラウンドは小浦にとってプロの実力を発揮する舞台でもある。「残り18ホールでは、今の自分の実力試し。優勝は16アンダーくらいかなと思っていましたが、もっとハイレベルなゲームになっていますし、それもプロの難しさ。最後まで自分のゴルフをやって結果を出してみたい」と目を輝かせた。小浦にとって夢の海外ツアー挑戦を目指した手掛かりをつかみに行く。