シニア参戦5戦目の山下和宏が再び初優勝のチャンスを迎えている。2日目は4バーディ・ボギーなしの「68」と4つ伸ばし、トータル8アンダー・3位タイに浮上してきた。
「アプローチはだいぶイップス」と、3番パー3と13番パー4では、アプローチをダフってそれぞれ5メートル、10メートルショートしたが、それをねじ込んでパーをセーブ。「次の14番(パー5)では10メートルくらいのバーディパットが入って、16番(パー4)でもまた10メートルくらいのバーディパットが入った」。終盤の4ホールでなんと3つのロングパットを沈めて、優勝争いに踏みとどまった。
「(ゴルフ自体は)そんなに良い感じではないけど、パットがいいからスコアになっている」と本人はいう。そして、パット好調の要因については「長尺にして半年ちょっと経って落ち着いてきて、素直に思ったところに出るようになった」と考えている。
シニアの環境に慣れたことも大きい。1973年11月5日生まれの山下は、昨年11月にシーズン残り2試合から参戦し、今大会で5試合目となる。「ここにいることに違和感がなくなってきた。初戦が良かったから、それが大きいと思います。『山下、今日良かったな』とか、みんなが声をかけてくれて、見てくれているんだという感じがある」。
今季開幕戦の「ノジマチャンピオンカップ箱根」では初日に「66」を叩き出し、首位と1打差の2位タイで発進したが、最終日は「73」と2つ落として、8位タイに終わっている。今大会はそれ以来2度目の優勝争いとなる。
不安があるとすれば、やはりアプローチ。「一生直らないかもしれない」。サンドウェッジで上げるアプローチは「本当に気持ち悪い」と手が動かなくなる。今の対策は転がし。「ロフトの立っているクラブの方がミスが少ないから」と、転がせるときは8番アイアンを使って寄せたり、グリーンの外からでもパターを使う。
「上手くいくんなら何でもやってやる」と、練習日には同じ大阪出身の都間克則のアドバイスを受けて、サンドウェッジで上からぶつけて低く出すアプローチを練習するなど、常に打ち方を模索している。
そんな症状とも戦いながら、明日の最終日は、前の試合で優勝した片山晋呉とサイモン・イエーツ(スコットランド)とともに最終組の1つ前でプレーする。「サイモンは今年の開幕戦で一緒に回っているし、片山さんがどんなゴルフなのか。先々週のチャンピオンでもあるし、観戦するつもりくらいでいいかな」と、優勝争いに胸を躍らせる。
また、開幕から今大会までの3試合で賞金ランキング30位以内に入れば、今年の「日本シニアオープン」の出場権が与えられるが、山下は現在17位でほぼ確定させている。本人も「上しか見てない」と欲を隠さない。首位を走る宮本勝昌とは5打差。「宮本さん次第ではあるけど、前半で伸ばせたら、もしかしたら何かあるかもしれない」と、逆転のチャンスをうかがう。
宮本追撃のキーにはショットを挙げる。「ショートアイアンがもうちょっとピンにつけばなって自分でも思います。自分の調子をまだ上げられそうな気はする」。ラウンド後は練習場に向かい調整に努めた。レギュラー時代に果たせなかったツアー優勝へ、人事を尽くして天命を待つ。