13番ホールまでに5アンダーに伸ばし、リーダーボードを駆け上がっていった兼本貴司だったが、終盤の16番、17番で連続ボギーで10位付近に後退。しかし、最終18番パー5をイーグルで締めて、トップの宮本勝昌とは1打差の5アンダー・2位タイまで戻して初日を終えた。
549ヤード設定の18番。兼本はティショットを残り253ヤードのところまで飛ばすと、セカンドは中空構造の2番アイアンで2.5メートルにつけてイーグル。「一瞬強い球が出たから大きいかなと思ったけど、多分ワンピン手前に落ちて、ピンに当たって止まったんじゃないかな。当たらなかったら、コロコロ転がって奥まで行っている」とケタケタと笑う。
兼本はシニアツアーでも1、2を争う飛ばし屋。「ドライバーはキャリー300ヤード、3番ウッドがキャリー280ヤード、2番アイアンがキャリー250ヤードで力むと260ヤード」というから驚きだ。ティショット用に入れている2番アイアンで、同組の選手のドライバーより飛ばすこともある。
ウッド型のユーティリティは「上がりすぎてコントロールが利かない。低い球を打とうとすると、引っかけやフックが出やすい」という理由で入れていない。兼本は現在53歳だが、ウッド系は2本だけというレギュラーツアーでもなかなか見ないセッティングだ。
今季は最終予選会をトップで通過すると、2戦を終えて優勝、12位タイと絶好調。賞金ランキングでは片山晋呉に次いで2位につけている。「優勝」という今年の目標を早々にクリアして、次に見据えているのは海外メジャーだ。
「賞金王は無理かもしれないけど、4位以内には入ってみたいですね。またメジャーに行きたい」と話す。今シーズンを終えて賞金ランキング4位以内に入れば、来年の「全米プロシニア」と「全米シニアオープン」の出場権が手に入る。22年には国内シニアツアーの賞金ランキング3位に入り、昨年その2試合に出場。全米シニアオープンでは2日目の最初の6ホールで5バーディを奪うチャージを見せて、決勝ラウンドに進んでいる。
今大会は優勝賞金1400万円と高額なため、海外メジャー出場に近づくためには、優勝するか上位では終えたいところ。残り2日間については「このまま行くとは思わないけど、このまま行ってほしいな(笑)。僕のゴルフは波瀾万丈なので、いきなり崩れたりもするので」と楽しそうに話す。スコアはティショット次第。連続ボギーが来てもイーグルで一気に獲り返す。そんな兼本にしかできないゴルフで再び海外を沸かせたい。