「44、45歳くらいから、試合勘をなくさないように準備してきました」。2007年の「サン・クロレラクラシック」でレギュラーツアー1勝を挙げている菊池純が、今週の「スターツシニアゴルフトーナメント」でシニアデビューする。
会場には昨日入り、18ホールを回った。「21歳でデビューした時を思い出しました(笑)。敬語しか使わない。ABEMAツアーでは『おー』とか『あー』とかしか言わないのに、こっちでは『おはようございます』って『す』をちゃんと付けますね」と笑顔で話す。
菊池のデビュー戦までの道のりは順調ではなかった。今年の出場権をかけて戦った3月の「PGAシニアツアー予選会・最終予選」の前週に両ヒザを傷め、「歩けなくなった」。原因は分からず、痛みを抱えたまま3日間完走したが、初日に「80」を叩くなど「ずっこけた」。結局、54位に終わり出場権を逃してしまった。
直前に行ったタイ合宿では、それまでのトレーニングや練習の成果もあって、ヘッドスピードは52m/s、キャリーで300ヤードを記録。「レギュラーに出ていたときよりも飛んでいた。生涯一飛んでいた。あのままできていたら面白かった。最終予選はそうとう自信がありました」。そんな明るい希望は両ヒザの痛みによって打ち砕かれた。
失意の最終予選会を終えてすぐに病院でヒザの検査を行うと、半月板に損傷が見つかった。翌週には手術をすることに。1日でも早くメスを入れて、6月~7月にかけて行われる「日本シニアオープン」の予選会までには間に合わせたかった。しかし、主治医がストップをかける。「痛い場所と損傷の場所が合わないから、違う原因があるんじゃないかと。それで『手術やめましょう。やっても復帰に時間がかかるだけです』となった」。
手術を回避し、理学療法士の元で、足首や太モモ、お尻といったヒザの周辺の筋肉の硬さを取り除く運動を行い、痛みが和らいできた。そうして4月下旬に「ゴルフをやってもいいですよ」と主治医からの許可が出て、5月のゴールデンウィークにおよそ1カ月半ぶりにラウンドを再開。主催者推薦をもらっていた今大会に間に合わせることができた。
それでも「全然飛ばなくなった」と飛距離はまったく戻っていない。歩きのゴルフでは翌日に「少し痛みが来る」と不安もある。「早く元に戻したい」というのが菊池の本音だ。開幕戦から今大会までの3試合を終えた時点で賞金ランキングトップ30に入っていれば、日本シニアオープンの出場権が得られるが、今週トップ10に入れれば、その可能性は十分にある。
「とりあえずトップ10かな。今年の日本シニアオープンは千葉カントリークラブ・川間コースでよく回っているコース。もうキャディも決まっている(笑)。シニアオープンには行きたいですね」と、3日間回りきるだけで満足するつもりはない。「人よりは若いから何とかしたいと思います」と、デビュー戦で上位を狙いにいく。