「50台が出るかと思って怖かった」。谷口徹が8バーディ・2ボギーの「66」で第1ラウンドを滑り出した。「久しぶりにショットが良くて、パットが決まっていた」と、1番スタートで出だしから4連続バーディで一気に飛び出すと、8番、9番でも連続バーディを沈めて、前半ハーフを「30」で折り返した。
しかし、後半に入って「流れが止まっちゃった」。折り返した10番パー3ではティショットを左に引っかけて今日初めてのボギーを叩くと、後半は結局、2バーディ・2ボギーの「36」で伸ばすことができず。「スタートが良かったから、もっと行きたいなというのはあった」と、悔しい後半のラウンドとなった。
18年の「日本プロゴルフ選手権」を50歳で優勝し、レギュラーツアーでは今年まで複数年シードを持つ。シニアツアーは同年にデビューして、翌19年の「日本シニアオープン」を含む2勝を挙げている。レギュラーツアー通算20勝を誇る谷口にしては、勝ち星は少ないように思えるが、シニアツアーでこれまでの6シーズンで年間8試合に出たのが最高で、レギュラーツアー出場を優先してきたふしがある。
レギュラーツアーの今年の成績を振り返ると、5試合に出場して予選通過は前週の「ミズノオープン」1試合のみ。それも予選ラウンドこそトータル2アンダー・32位タイで通過したものの、決勝ラウンドに入ってスコアを落とし、トータル9オーバー・62位だった。
なぜ谷口はレギュラーツアーにこだわるのか。それをぶつけると谷口は「ジャンボさんの最年長優勝を抜きたい」と明かす。国内男子ツアーの最年少優勝記録は、尾崎将司が持つ55歳7カ月29日で、2002年の「全日空オープン」で達成している。谷口は2月に56歳の誕生日を迎え、今年勝てばジャンボが持つ最年長優勝記録を更新するのだ。
「(レギュラーで)もう一回勝ちたいというのはずっとあった。でも年々年々厳しいですよ。最近の若い子は上手いし、曲がらないしね。ミズノオープンでは3日目に杉浦(悠太)くんと初めて一緒に回って、本当に曲がらないし、ショットも上手いですよ。これは勝つよなって思いました」
ちなみに杉浦悠太は日大4年生でアマチュアだった昨年、松山英樹やブルックス・ケプカ(米国)も出場した「ダンロップフェニックス」で史上7人目のアマチュア優勝を飾り、そのままプロ転向している。
宮本勝昌や片山晋呉、藤田寛之がシニアに主戦場を移して、海外メジャーへの出場権が得られる国内シニアツアーの賞金ランキング4位以内を目指すなかで、谷口はレギュラーツアーの最年長優勝を目標にプレーしてきたのだ。「50歳で日本プロに勝たなかったら、あっち(米シニアツアー)を目指したかった。勝ったから目標がレギュラーの優勝になった」と明かす。
21年の「スターツシニア」以来のシニアツアー3勝目に向けて残りは2日間。「初日が終わったばかりなので、最終日のバックナインにそういうところにいたら考えたい。シニアも若い選手がいっぱい入ってきて、自分の技術も劣ってきたからそんなに簡単には勝てない」と谷口は考えている。レギュラーツアー優勝へ弾みをつける大会にできるだろうか。