箱根湖畔ゴルフコースで22日に行われた関東プロゴルフグランドシニア選手権大会の最終ラウンド。7アンダー首位スタートの崎山武志(61)が5バーディー・ボギーフリーの67をマークし通算12アンダーで完全優勝。グランドシニアは2022年に続き2度目の優勝を飾った。
1打差2位には6つスコアを伸ばした中根初男(61)、首位2打差の3位に清水洋一(61)が入った。9月に兵庫県の宝塚クラシックゴルフ倶楽部で行われる日本グランドシニアには、有資格者を除いた上位25名が進出することになった。
崎山にはノーボギーでまとめる凌ぐ力と、集中力を研ぎ澄ます力が備わったようだ。最終ラウンドは、トーナメントリーダーといえど3打差に8人がいるので、激しい優勝争いは予想された。だからこそ崎山は「とりあえずノーボギーゲームが優先。そうすればゲーム展開が見えてくる」と自分に言い聞かせてスタートした。
優勝候補と目されていた同組の清水はボギーが先行したが、2番から3連続バーディーと追い上げる。清水はさらに8、9番でバーディーを積み上げて前半終了して崎山に並んだ。
崎山は2番、9番とバーディー2つを獲り焦らず好機を待つことにした。後半15番までで崎山は3つ、清水は2つスコアを伸ばし、難易度の高い16番パー4(456ヤード)で清水が3パットボギーとし、ここで2打差がつけられた。崎山は前組の中根が猛追していることを聞きつけ「勝負は18番までわからない」と警戒した。最終18番ホールでセカンドをグリーンキャッチに賭けたがボールは奥のラフまで転がってしまった。難しいアプローチだったが結局パーでホールアウト。上がってみれば中根とは1打、清水とは2打というところで崎山の優勝が決定した。
「勝つためにまずはノーボギー」が必要だった。さらに最後まで集中力を切らさずにできたのは、今年からトレーニングの後に取り組んできた「ピラティス」が少なくとも影響している。常に身体の動きに集中し続けるエクササイズで、自然と脳の状態をリフレッシュさせる効果があるという。
崎山は昨年のシニアツアー「コマツオープン」で、最終ラウンド後半で2つOBを叩き、優勝戦線から離脱。自ら大きなチャンスを手放してしまった。再び勝つために、新しいプログラムに取り組んでみようという中で、ボディービルダーの知り合いから勧められたのが「ピラティス」だった。1月から個人レッスンという形でスタートしたが、身体の動きにも敏感になり、パフォーマンスも上がっている様子。「今回の優勝でコマツオープンの悔しさを払拭できます」と崎山は胸を張った。
「プロゴルファーとして、試合の大小とかではなくてPGA競技で『優勝』というのは嬉しいです。この優勝は自分ひとりでは達成できない。仲間やスポンサー、ファンの方が応援してくれるからこその優勝だと思っています」と丁寧に言葉を選んで感謝を示した。
さらに「来週は地元・栃木でシニアツアー『すまいーだカップ』がありますし、相性のいい『スターツシニア』も続きます。私にとって大切な大会ですから、しっかりとやり抜きたい」と口元を引き締めた。この2日間、安定感の光ったゲーム運びができた崎山は、グランドシニア2勝目をフックに、スケールの大きなゴルフが期待される。