野萩カップ PGA後援２０２４の最終ラウンドが２４日、埼玉県にある鴻巣カントリークラブ（パー７２、６，８５６ヤード）で行われた。コースには春の雨が降り続き、体の芯から冷える一日だった。６アンダー２位の西村匡史（フリー）と５アンダー６位で出た勝俣陵（ＪＰアセット証券）が、共にスコアを伸ばし通算１０アンダーで並びプレーオフへ。１８番パー５の１ホール目で、勝俣がバーディーパットを決めて優勝。賞金２４０万円と第９１回日本プロゴルフ選手権の出場権、さらに７月に日高カントリークラブで開催される埼玉県オープンの出場資格が贈られた。
２３日に行われた第１ラウンドでトップに立ったのは６５ストロークをマークした間柄両真（嵐山CC）。１打差２位タイに阿部大輔（N＋）、西村 匡史（フリー）、宇佐美祐樹（藤宮GC）、若原亮太（フリー）が続いた。最終ラウンドにはイーブンパー５４位タイまでの６６名が進出した。今年は特にベント芝グリーンの仕上がりが美しいと選手からも高い評価の声が聞こえた鴻巣カントリークラブ。最終ラウンドは終日細かい雨が降り続いたが、グリーン面の鮮やかな緑と、スムーズなボールの転がりは選手のモチベーションをより一層上げるものになった。
勝俣の第１ラウンドを振り返ると、前半で６つのバーディーを量産。後半はボギー１つと伸び悩んだが、手ごたえは感じていた。「チャンスに着けられたホールは、ほぼ決められたのですが、後半（アウトコース）は距離が長いこともあって、ショットミスから１つボギーが出てしまった感じです。ただ、この鴻巣カントリーのマネジメントは知っていることもアドバンテージですので、ボギーを打たないゲームを目指すだけでした」と振り返った。
最終ラウンド前半はスコアを３つ伸ばし、さらに後半１３、１４番でバーディーを重ねることに成功。しかし１５番で１．５メートル、最終１８番では１メートルのバーディーパットを外し「スコアを意識し始めてっていうところでした。１０アンダーだと勝てないと思っていたので、もう１つ（バーディー）が欲しいなっていうところで力んでいましたね。傾斜の読みも外れて、結局プレーオフまで持ち込んでしまいました」と反省する。
プレーオフ１ホール目で勝俣はティーショットを左林方向へ。セカンドショットはグリーン手前４０ヤード付近のセミラフへ運び、アプローチでピン５メートルの距離に寄せた。一方で西村のサードショットはバンカーからピンまで２．５メートルと勝俣の内側へ。先攻して勝俣が打ったバーディーパットが見事カップイン。続く西村はバーディーパットを打ち切れず、勝俣が優勝タイトルを手にしたのだった。
今年レギュラーツアーのシード選手（賞金ランキング５６位）ということもあり、勝俣は高い注目を集めていた。今週のレギュラーツアー（ＩＳＰＳハンダ欧州日本どっちが勝つかトーナメント）では出場人数も限定されているため、勝俣まで出場資格が下りてこなかった。それでも試合勘を養いたいと、地元埼玉での大会に挑戦した。ローカルの試合だからこそ、集中力を高めて挑んでいる。「今年は勝てる気がするというか、勝ちます。『優勝』を自分の言葉に出してプレッシャーかけています」と力強く口にした。「優勝は簡単なことではないと思うのですが、今年のオフシーズンは徹底的に練習をしたので、練習量という部分でも誰にも負けない自信があります」と根拠も明白だ。
「半年前に子供も授かったこともあって、今は人生のモチベーションが高いです。家族のために頑張れます。昨日も帰宅後、妻に『今回は絶対に勝つからね。テレビ買うから』って言ってきたので、ちゃんとプレゼントできますね」と柔和な表情を見せた。家族が増え、今は主としてやるべきこともある。この野萩カップ優勝を通じて、勝俣はレギュラー初優勝を狙いにいく。