最終ラウンドはトップから4打差に28名がひしめき合う混戦からスタート。中でもレギュラー31勝、永久シードプレーヤーの片山晋呉(51)の躍進に期待がかかった。片山は先月のレギュラーツアー開幕戦(東建カップ)で最終日64をマークし通算13アンダー17位と好調な仕上がりを見せていた。片山にとってはシニア2年目の開幕戦で、首位兼本とは2打差を追って4アンダーからスタート。前半で3つバーディーを仕留め、後半11番でもうひとつバーディーを重ねたが、14番からボギー、バーディー、さらにボギーとしてしまい、ここでブレーキがかかってしまった。優勝まで3打の差。ゴルフの調子も悪くないだけに、2位の座は悔やまれる。
「いいけど、勝てない。足りないんですよ、何かがね」と片山は首をかしげる。「ピンを狙えるゴルフしているけどね、勝てない、しょうがない・・・みなさん上手だわ」となんともならない手振りをした。王者・片山は、一試合でも早くシニア祝杯を上げたいという思いがますます強まるのだった。
片山と同じく4アンダーからスタートした深堀圭一郎(55)。6年前にこの大会でシニアデビューを果たした思い入れのある大会でもある。昨年は初日首位と好スタートを切ったが、最終日に逆転されて1打差の2位だった。「今年こそ優勝したい」と挑んだ最終ラウンドは、通算10アンダーをターゲットスコアに設定。前半で3つ伸ばしたが、後半に入ると北風が強く吹き抜けるようになってきた。「風の読みが非常に難しくなって、短いパットを外してしまってから流れを止めてしまいました」と反省する。
今年はパッティングの精度に課題を置いている深堀。ショートゲーム、そしてパッティングという一連の流れも意識した練習に取り組んでいるだけに、12番のグリーン上で流れを止めてしまったことだけが悔やまれる。それでも今年の開幕戦を4位で終えたことに、兆しは明るい。「振り返ると締まった内容のプレーはできたことは評価しています。どんどん後輩も入ってきて、シニアのレベルは格段に上がっていますから、そんな中で一年でも早く、また勝ちたいです」。シニアデビューを飾った試合だからこそ、格別の思いが詰まっているし、自分の成長を感じることができる。「いつか箱根で優勝」を胸に秘め、今年の好スタートを切った。
3アンダー12位からスタートした手嶋多一(55)。1番ホールからいきなりのアクシデントに見舞われた。ティーショットを左に2度ひっかけて2連続OB。「ゴルフ人生で初」の出来事と7オン1パットの「8」を叩き、がくっと肩を落とした。それでも手嶋は諦めなかった。同組だった片山、深堀の好プレーを目の当たりにし、流れに引っ張られた形で、前半4つのバーディー奪取に成功。後半は風の強まってきた12番で初ボギーにしたが、それから3つのバーディーを重ね、上がってみれば69。出だしの「8」を忘れるくらいの快進撃で、通算5アンダー6位のトップ10入りを果たした。
手嶋は昨年のQTファイナル50位と、レギュラー参戦のチャンスも狙い続けている。シニアツアーの空き週にはAbemaツアーに出場する予定で、試合勘を養いながら技術を磨き続けるという。「やっぱりね、海外シニアメジャーに行きたいから。賞金ランキングトップ4に入りたい。そのためには経験と実践だから」と目標がある。諦めずにいることの大切さを手嶋は示してくれたのだった。