レギュラー2勝、シニア1勝を挙げている兼本貴司(53)が最終予選会で堂々のトップ通過を果たし、今年のシニアツアー出場資格を獲得した。最終ラウンドは4アンダー首位からスタート。前半パーで凌ぐゲームが続いていたが、9番パー5でバーディーを仕留めると、後半に入り14番から3連続バーディーと流れに乗り、最終18番でさらに1つスコアを伸ばして67をマーク。連日ノーボギーを達成し、トータル9アンダーは2位の中山に5打の大差をつけて1位の座を射止めた。
「とにかくずーっとパーで我慢しとこうと思っていましたが、気づけばあっという間に終わっちゃったって感じ」とテンポ良く締めくくれたという最終ラウンドを振り返った。実力派・兼本が混戦を制した結果となり、今季シニアツアーの舞台に名役者として名前を連ねることができた。
2022年は賞金ランキング3位と好調なシーズンを過ごしたが、2023年は得意クラブであるアイアンの距離感が合わず、スコアメイクに苦戦していた。米国シニアにもメジャー2戦にスポットで参加し得るものもあったが、日本では得意のアイアンショットに悩まされて結果につなげられなかった。賞金ランキングは33位となり、最終予選会での戦いを強いられたのだった。
兼本は昨年の最終戦「いわさき白露シニア」で初日80を叩いていた。「あの時は全然飛ばなかったんですよ。だけど今日は最終ホールでも5番か6番かって迷えるくらい復調しました。それにパッティングが良く決まってくれた。ボギーが2日間無かったことも嬉しい」と白い歯をのぞかせた。
今季シニア開幕戦は4月の「ノジマチャンピオンカップ箱根」で、2022年に優勝した兼本にとって相性の良い大会でもある。「もうちょっとアイアンを改良しないと、まだツアーで戦うには難しいかもしれないです。自分の満足するゴルフを目指したい。ただ、この2日間は変なところに打ってなかったですし、グリーンも捉えてくれたから兆しはありますよ」とアイアン巧者の兼本は状況を受け止めている。
最終予選に出場した選手は「長い一日」と表現することが多い中で、兼本は「早かったね」と感じるほど、好調なゲーム展開ができていた。実力で掴んだシニアツアー出場権に、ロングヒッターの兼本がどう新たに切り込んでいくのか期待がかかる。