4試合連続優勝を狙うプラヤド・マークセン(56)が、同じタイのタワン・ウィラチャン(55)、6年連続ツアー勝利を目指す寺西明(56)とともに首位に並んだ。1打差でエージシュートを達成した室田淳(67)と矢澤直樹(51)が追走している。3打差以内に13人と、優勝争いは混戦になった。
よほど集中してゴルフができた1日だったのだろう。6アンダー65で回った矢澤直樹は「全然覚えていない。どこでバーディーでしたっけ?」と、聞き返すほどだった。
そんな1日。まず、2番で大ピンチ。左のバンカーに入れて、第2打をグリーン右バンカーへ。「砂が薄くて」と第3打でグリーンをオーバーした。そこから寄せて何とか1パットのボギーにしての始まりだった。
5番でバーディーを奪う。7番でもバーディー。「でも全然思い出せないんです。最近忘れ物も多いですし」と笑ったが、状況を思い出せなかった。インに折り返してからは少しずつ記憶をたどる。10番パー5でラフに入れてレイアアップし、3打目で5メートルにつけるバーディー。12番パー5では左ラフから残り160ヤードの第2打をグリーン右に外したが、1.5メートルに寄せてバーディー。だんだん思い出してきた。
「そこははっきり覚えています」というのが15番から。まず15番では「第2打をダフってひっかけたんですけど、うまくピンの上に1.5メートルぐらいついた」という。16番パー3では「6番アイアンで3メートル強だった」。17番は「1.5メートルについた」と、3連続バーディー。第1ラウンド31位から一気に順位を上げた。「そこまでは気持ちよくクラブを振れました」と振り返る。
「でも、最終18番でリーダーボードを見て(その時点で)トップだって知って、ティーショット(を打つのが)が気持ち悪くなった」と笑う。それでもパーで上がって通算6アンダー、最終的には首位に1打差の4位につけた。
小学生5,6年からゴルフを始め、高校までゴルフ部のない学校に行っていたが、プロ入りを目指して静岡県の朝霧ジャンボリーに研修生で入った。プロテスト合格まで10年かかった。レギュラーツアーにはほとんど出られなかった。シニア入りを楽しみにして、QTで8位となって今季が初めての本格参戦。「シニアが楽しいって聞いていたんですけど、成績が悪くてつらい方が多い」と、9試合でトップ10なしの賞金ランク54位にいる。
応援に来ていた高3の娘の美羽さんが卒業後にゴルフ場に入ることになっている。「ティーチングプロを目指しなさいって、私が勧めました」という。希望としてはPGAの資格を取ってほしいそうだ。
初めての優勝争い。戸惑っている。「優勝争いって、今日の18番みたいに気持ち悪いのが1番から続くんですよね」。プレッシャーはたぶんあるでしょう。「今晩、眠れないんですよね」。寝てみないと分かりません。
最終日も、この日のように集中した1日を過ごせれば、何かつかむものがあるかもしれない。
(オフィシャルライター・赤坂厚)