昨2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、シニアツアーの日程も大きく変わった。当初4月に予定されていた開幕戦「金秀シニア沖縄オープン」は延期を強いられ、開催を中止する大会が続いた。ようやく大会が開かれたのは7月の「ISPS HANDAコロナに喝!!シニアトーナメント」だった。同大会が実質上の開幕戦となり、ツアー日程変更後は無事に8大会が行われたのだった。
短期決戦となった20年ツアーを振り返ると「日本シニアオープン」を寺西明が、「日本プロゴルフシニア選手権」は中山正芳がそれぞれ大会初優勝を飾り、念願の日本タイトルを奪取している。このほかに「マルハンカップ 太平洋シニア」で篠崎紀夫、開幕戦から最終戦に変更された「金秀シニア」で河村雅之がシニアツアー初優勝を挙げた。
昨年はコロナ禍によって外国人選手は参戦できなかったこともあり、賞金シード選手の顔触れも大きく変わった。同1位に輝き、日本人選手としては5年ぶりにシニア賞金王の座に就いた寺西は、日本シニアとの2冠を達成し、2年連続のシニア賞金王と日本シニアVに挑む。「タイトル奪取は通過点です。僕の師匠である髙橋勝成さん(2000年から4年連続シニア賞金王)に近づくのは難しいけれど、少しでも近づきたい。2年連続のチャンスがあるのは僕だけですからね」と寺西は目を輝かせる。
ツアー終盤戦までシニア賞金王タイトルを寺西と争った篠崎(賞金ランキング2位)と岡茂洋雄(同3位)は初シード入りしただけでなく、ビッグタイトル奪取にあと少しまで迫った経験を今年は生かすはずだ。賞金ランキング4位に食い込んだ溝口英二は「いわさき白露シニア」で優勝を飾り、シニアベテラン組としての意地を見せてくれた。
50歳という節目の年齢を迎えシニアツアーデビューを飾る、ルーキー選手たちにも注目が集まる。兼本貴司(ツアー2勝・1970年12月12日生)、細川和彦(同8勝・1970年12月28日生)、丸山大輔(同3勝・1971年3月16日生)、そしてシニア2戦目「ノジマシニアチャンピオン杯」から出場予定の宮瀬博文(同7勝・1971年4月11日生)というレギュラーツアーでも人気あるベテラン勢が、シード資格を行使し参戦する。この4人の通算勝利数だけで20勝と百戦錬磨の選手がシニアツアーでどんな活躍を果たすのか。昨年同様にデビュー年にシニア初優勝を飾るのかにも注目が集まる。
また新型コロナのワクチンが世界中に普及し出したこともあり、今年はシニアの鉄人プラヤド・マークセンやウイラチャン、ソクジュンヨルら外国人選手たちも来日条件が揃い次第、参戦する予定だ。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)