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【全英シニアOP/前日】リンクスでの厳しい戦いに立ち向かう井戸木

2017年07月27日


井戸木鴻樹(55)にとって、全力を尽くす海外での最後の戦いが始まる。

4年前の2013年、井戸木は初出場で制覇した全米プロシニアでは、5年間の全英シニアオープン出場資格を得た。それから4回参加しているが、全て決勝ラウンドに進出し、リンクスの経験と成績を積み重ねてきた。日本ではあまり馴染みのない英国のリンクスコースでは、独特のバンカーと風が選手を苦しめる。気を抜くことができないリンクスでの厳しい戦いではあるが、井戸木にとっては、厳しいコンディションだからこそ、ゴルフに向き合う気持ちが強くなる。「メジャーのリンクスコースは、ひとつも気が抜けないですけど、辛抱しがいがあります。バーディ合戦のようなコースよりも、厳しい環境でのゴルフのほうが、僕には向いているのかもしれないです。3年前、ここのコースでは、パッティングに苦しめられて、『ゴルフを辞める』だなんて言葉にもしましたが、次の日はそんなことは忘れて、また自分のゴルフを模索しているんですよね。今年はそういうことも含めて、全力でリベンジだと思って挑みます」と、井戸木は話す。

 

井戸木にとっては、最後の海外メジャー挑戦になるかもしれない。全米プロシニアで優勝してからの5年間で、様々な経験を積んできた。井戸木の明るい性格と人柄で、チャンピオンズツアーの選手たちと、深い友情も得られた。一方で、『ゴルフの怖さ』も味わってきた。

「シニアメジャータイトルを獲ってからの5年間は、すべてが宝物ですよ。自分なりに、レギュラー時代からも(ゴルフの)怖さは知っていたつもりなんですけど。・・・ゴルフの本当の怖さを知ることになりましたね。海外の試合に挑むには、気持ちも体力も備えて生活を続けないと、難しいと思いました。怖さを知るほど、引き出しも増える。その引き出しを使って怖さを取り払う。すると、また怖さがでる。その繰り返しです。そういう意味では、この5年間でたくさんの経験をすることができましたが、体力も限界かなと感じています。日本のシニアツアーでも、まだまだ挑戦をつづけたいですしね。このウェールズが最後の全英シニアというつもりで、悔いの残らないよう、全力で、いや、辛抱を絞りきってやってきます」と、改めて今回の決意を口にする。

 

リンクスでは、想像の出来ない風とボールの転がりが起こる。井戸木にとって、一番の難題がポットバンカーだ。「ここでは100個バンカーがあったら、100個とも入れてはダメですね。ボギーで収まればいいけど、入りかたによっては、まったく出せないような感じもあります。海外のコースでは、しかけられた『トラップ』がよくできてます。とにかくバンカーだけは避けて、最低目標は予選通過。パッティング次第では優勝もあるかもしれません」。現在の日本シニアツアーランキングでは7位につけている井戸木。ショットもパットも感触は悪くない。

「気持ちが乗れば、調子が上がります」と、明日からの戦いに向けて、口元を引き締めた。