崎山武志(54)は、3日目を終えて、20位で最終日を迎えていた。この順位は、選手にとって極めて悩ましい。攻めて少しでも順位を上げたいという気持ちが強いが、そのチャレンジには、当然のリスクがついて回る。
あこがれていた米シニアメジャーに向けて準備を重ねて、ようやくその舞台に立てたものの、ショット、パットが最後までかみ合わないラウンドが続いていた。最終日も、それは変わらなかった。前半で2オーバー。後半になって、攻めの気持ちが強くなって、その結果、ボギーを連発した。2バーディ、8ボギーの78でスコアを6つ落とし、通算3オーバー53位で、今年の全米プロシニアを終えることになった。
ホールアウトした崎山は、無言だった。様々な想いが去来する。自分の不甲斐なさに歯がゆく悔しい思いばかりが残っていた。だから、ホールアウトしてからも言葉にできない時間ばかりが過ぎていった。
しかし、59歳ランガーの優勝を目の当たりにし、「(自分のゴルフは)これから戦いが始まったばかりなのかもしれない」と、崎山は感じた。そして、改めて口にした。「また来年も挑戦したい」。
崎山は試合に挑みたい、勝ちたいという気持ちが人一倍強い。しかし、崎山の繊細な気持ちが、時として神経を過剰に使わせることもある。それでも、悔しい気持ちを伴う中、世界での経験値をあげることで、崎山のゴルフは進化を続ける。新しいシニア世代を牽引していけるようにと期待したい。