第1ラウンドのサスペンデッドの残り10ホールを含め、室田淳(61)にとって、28ホールの長い予選ラウンドが始まった。まさに気力、体力が求められる一日だ。
室田は、(11番インスタート)18番ホールのアプローチショットからプレーを再開。バーディパットを沈めて、バックナインに向かった。ドライバーは比較的安定しているが、ショットの距離勘が出せず、長い距離のバーディトライとなるものの、1パットでは厳しい距離が残ってしまった。
練習ラウンドでは、風の影響をあまり受けなかったためか、風の計算が難しかったのかもしれない。ポトマック川から吹くアゲンストの風を受け、セカンドショットがグリーンまで届かないこともしばしば。アイアンの当たりが薄く、室田は、強く球を捉えるイメージがなかなかつかめない。
ショット後、室田は長い時間空を仰ぐ姿が幾度となく見られた。思うショットが打てない、この悔しさを晴らしたい。もどかしいショットが、毎ホール続いた。アンダーパーを守りたいと、必死の戦いだった。
朝からの風は、第2ラウンドに入ると、ますます強さを増してきた。強いアゲンストに向き合い、必死にショットを続けたが、急に腰に痛みが走った。負けられないという強い思いと体の力加減がかみ合わず、5ヶ月前の腰痛を再発してしまった。痛みをかばい、腰をさすりながらのプレーは、どうしても集中力を欠いてしまう。室田は、自分のゴルフの技術や精神を鍛え、難コースで試合の経験値を上げるために、アメリカにやってきた。
しかし、激痛が辛く、後半棄権も考えた。時折、立ち止まって、腰をさすりながら前に進んだ。しかし、こうしてずっと挑戦してきた全米プロシニアの戦いを、やめるわけにはいかないという思いで、この一日で28ホール、予選ラウンドの36ホールを完走した。第2ラウンドの内容は、4バーディ9ボギーの77、通算5オーバーという結果となってしまった。
「ようやく(腰痛が)ゴルフが出来るようになってきたのに。あんな強いアゲンストだもんな。力が入って、腰を痛めた。それから、体もゴルフもコントロールが出来なくなった。自分のゴルフじゃなくなったなぁ」と、悔しさをかみしめていた。今シーズンも、幕をあけたばかり。鉄人室田の回復を待つしかない。