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【全米プロシニア・前日】「持ってる男」田村がスター選手から学んだこと

2017年05月25日


田村尚之(52)は、シニア2年目の2015年、日本シニアツアー賞金ランキングが5位。全米プロシニアへの出場資格は4位までで、去年はわずか156,465円差で出場のチャンスを失った。その悔しい思いもあり、昨シーズンは、富士フイルムシニアで優勝をあげたことも含め、賞金ランキング順位を4位に上げ、出場資格を手に入れた。

49歳でプロテストに合格し、50歳でシニアツアーに参戦。トップアマから転身し、プロゴルファー1年目、2年目と順調に歩みを進める田村は、シニア入りの目標のひとつでもあった全米プロシニアへの出場を叶えることができた。

今回は家族を伴っての渡米ということもあり、和気藹々と、リラックスしたアメリカ生活を送っているようだ。「言葉がもう少しできればねー」と、田村は言うものの、アマチュア時代には6年も、JGAナショナルチームメンバーとして経験を積み、国際大会の経験を持ち合わしているので、外国人との距離のとり方は絶妙に上手い。大会前日の24日は、先週のリージョンズトラディションで31度目のチャンピオンズツアー優勝を果たした、ベルンハルト・ランガー(59)、ジェリー・ペイト(63)と、練習ラウンドを行った。

田村の性格からすれば、自ら同行をお願いしたわけではない。インスタート11番ホール(変則スタート)でティーショットを打ち終わり、セカンドに向かって歩き出したときに2人がそれとなく「JOIN?」と声をかけてきたようだ。思わぬスター選手の到来に、田村は「オフコース」と即答。約2時間のハーフラウンドに、田村はときめきを感じずにはいられなかった。スタート前の練習もそこそこで、プレーを進めながら体をほぐそうと思っていた矢先の話なので、ショットに大きな差を開けられることもあった。それでも、だんだん調子をつかみ、最終18番ホールでは、ランガー、ペイトのドライバーショットを越えた。「2人にドラコンほめられましたよ!」と、満面の笑みを浮かべた。

「大収穫ですよ。今回は練習場でスター選手の姿がみられればいいなぁ、と思っていた位ですから。こんな偶然あるんですね」と感激しきり。田村は、間近で観察できたことで、新しい発見があった。「トップクラス選手の安定感は、鍛えられた体にある。ランガーは、スイングで右軸が全くぶれないんですよ。私なんかは、調子によってはインパクトゾーンで、手首で調整することもありますけど、(ランガーは)体に安定感があるから、調整可能な範囲が少ないし、リスクも少ない。練習ラウンドでも自分のペースもしっかり守る。これは、日々の努力でしょうし、なかなか出来ることではないです。このゴルフをシーズンずっと守るのは相当な努力でしょうね」。

ランガーも、自分自身のスタイルを築くまでに時間が必要だった。シニア入り後、同世代の選手に比べて、ランガーの功績ははるかに大きいものになった。「私は、常に目標を掲げているし、勝つことに大きな意欲がある。ピンポンだって、カードゲームだって、どんなときだって勝ちたい。勝者は1人しかいないから。ただ、20代、30代のときのように、8時間もの練習はもうできない。自分のペースというものをしっかりと見極めることが大事。この世代でわかることなのかもしれないけど、様々な人生を楽しみながら、(プロ選手として)勝つということも忘れないというバランスです」と、ランガーは穏やかに話した。

 

ランガー、ペイトとの貴重な練習ラウンドを通じて、田村にはもうひとつ、新しい意識が芽生えた。「49歳でプロ入りしましたから、体力的にも精神的にも55歳まで、プロ活動を全力で行うと話してきました。そんな中、今日は世界のトッププレーヤーの動きや考え方を間近で学んで、もう少し長くプロゴルファーとして挑戦してみたいと思い始めています」と、心境を話した。

世界に飛び出した田村の新しい挑戦が、明日の第1ラウンドから始まる。