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シニアツアー

【日本シニアOP/3R】首位の横綱マークセンに挑戦する一打差・藤田が見据える夢のシニア舞台

2022年09月17日

 第3ラウンドは台風の影響を受け、コースは朝から5メートル強の風が吹き抜け、時折霧雨も降りしきる1日だった。四方から吹くの風をどう読んだらいいのかわからず、選手はスコアメイクに苦労していた様子が伺えた。首位スタートのプラヤド・マークセン(56)は4バーディー2ボギーの70で回り通算10アンダーで首位。同じく首位で出た藤田寛之(53)は、3バーディー2ボギーとなんとかスコアを1つ伸ばして通算9アンダー2位とし、優勝争いの最終ラウンドに駒を進めた。

 ロングヒッターと言われるマークセンは、パワーゴルフだけではなく、ショットメーカーでもある。マークセンの得意クラブであるドライバーショットは、第3ラウンドで吹き荒れた風に対しても低く打ち出すことでコントロールが可能。これまで4回出場している全英シニアオープンでは、風の強いリンクスコースで開催されており、2018年のセントアンドリュースでは10位でフィニッシュしており、風雨のゴルフはむしろ得意とする。


 最終組はマークセンと藤田のツーサム。2番ホールでマークセンがバーディー、藤田がボギーで2打差をつける。しばらく平行するスコアが続き、9番パー3では藤田が7メートルを沈めてバーディー。後半に入り10番パー5でマークセンはセカンドショットを池に入れてボギー。2人のスコアが再び並ぶ。風はますます勢いを増す中で迎えた13番は、ワンオンも可能な短いパー4でマークセンはバーディー、藤田はパー。14番は両者ボギー。続く15番ホール、マークセンはショットの精度をあげて、難コンディションの中で2メートルにつけてバーディーとバウンスバックに成功。16番でマークセンは連続バーディーを決めて、スコアを2桁アンダーに乗せて実力を発揮した。


 一方、16番では藤田も果敢に攻める。サードショットは57ヤードのアプローチを30センチにつけてバーディー。続く17番パー3では本人も「きょういち」というショットを発揮し、2メートルにつけて連続バーディー。藤田は通算9アンダーとしてマークセンとの1打差として差を広げず、最終ラウンドの優勝争いに加わることができた。

 マークセンは「今日は霧雨で芝が湿っていましたから、グリーンもそれほど速くなかったし良かったです。藤田さんとテンポ良くプレーできました」と振り返る。「ドライバーもパッティングも調子は戻りましたから、気持ちは優勝に前向きです」と口調も明るい。「最後までフェアウェイキープを守っていくことと、グリーンは奥につけずに、確実に手前からが鉄則」とやるべきことは見えている。

 「今日のショットの感じはずっと苦労するなと思っていました」と藤田。雨風で難易度もあがる中でテイクバックの間がしっくりこない感じもあり、苦戦を強いられていた。それでもロングパットが入ったり、風の落ち着いた合間にショットが決まったりと運も味方につけられた。

 藤田はレギュラー時代から日本オープンに勝ちたかったという想いを忘れられずにいる。当時タイトル狙いの取り組みができず、気付けばシニア入りを迎えた。プロゴルファーとしては喉から手が出るほどほしい日本タイトルが、シニアという舞台の中でチャンスが巡ってきたのである。「マークセンさんは『横綱』のゴルフを展開していました。フェードボールを使い分ける技術なんかをみたら、僕には到底攻めきれないと感じることもあります。ただ、こうやって1打差という位置で、まだチャンスがある」と藤田は希望を抱く。

 「自分の持ち味は十二分に発揮できたラウンドでしたから、残りの18ホールも自分にできることをやるだけです。海外シニアメジャー参戦も見据えて、次にある夢のステージを見たいし、知りたいんです」。日本タイトル獲得のチャンスは藤田にも巡ってきている。最終ラウンドでは横綱・マークセンとの駆け引きに注目が集まる。