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シニアツアー

【日本シニアOP/1R】首位スタート阿原久夫は20年愛用のエースパターでゾーンに

2022年09月15日

「第32回日本シニアオープンゴルフ選手権」(JGA主催)の第1ラウンド。7アンダー65ストロークで回ったシニア2年目の阿原久夫(51)が単独トップ。2打差の2位には藤田寛之(53)、さらに1打差4アンダー3位には田村尚之(58)続いている。昨年覇者の手嶋多一(53)は1オーバー33位タイで初日を終えている。

 ナショナルオープンの舞台で初日首位に立ったのが阿原久夫、51歳。シニアツアーの2年目で、シーズンの過し方を理解し始めたばかりだ。昨年のファンケルクラシックでは田村尚之、秋葉真一とのプレーオフに挑み、優勝争いを味わった。戦いには敗れたものの、試合後はシニアルーキーらしく「百戦錬磨の先輩方と戦えて幸せです。このシニアツアーでゴルフがしたい、戦っていきたいと目標ができました」というコメントを残している。

 夢だったシニアツアー。未知でありワクワクする経験を味わい、目標に向かって突き進んだ。1年目の賞金ランキングは26位で、シード権を実力で獲得することができた。そして迎えたシニアツアー2年目は、新鮮な気持ちから卒業し、夢の舞台に立たせてもらっているという感謝の気持ちが生まれてきた。

 日本シニアオープンのタラオCCには、ナショナルオープンと言われるにふさわしい難易度の高いコースセッティングが用意され、それはリスク&リワード(危険と報酬)が18ホールのストーリーに埋め込まれている。流れを上手に利用するか、悪い方へ誘導してしまうのかをプレーヤー自身が見極めなければならない。

 午後スタートの阿原は10番パー5ホールで、奥から15ヤードのアプローチをチップインしてイーグル発進し、前半は30をマーク。後半にはいってもスコアを2つ伸ばして65ストローク、7アンダーは2位の藤田に2打差をつけた単独首位スタートを切ることができた。

 昨シーズンを共にしていたエースパターが今年2月に壊れ、阿原は不調の流れに苦しんでいたが、先週のコマツオープンでようやくスコアが作れるゲームに手ごたえを感じ始めてきた。それはかつて20年近く愛用してきたパターを復活させられたことにある。「ここのグリーンは上から速いし、下りのラインはとてもデリケートなんです。警戒しすぎるとスコアにならない。昔の感触が蘇ってきて、今は自信をもってパッティングができています。だからこそプレーの流れが全体的に良くなってきました」という。

 予選ラウンドは森田徹、真野佳晃というかつてレギュラー下部ツアーで一緒に戦ってきた選手との組み合わせもプラスの要因に働いた。「森田さんは本当にナイスガイ。試合中も組の流れを絶やさずにいいムードを作り上げる人ですから、そんな人柄を尊敬していますし、いいゲームに展開しました」。阿原にとっては組合せにも恵まれた1日となった。

 シニアツアーのシーズンを戦い抜くためには、先輩方が楽しむツアーを継承することと、それに見合う体力も必要だとこの1年で学んだ。「プレーのリズムがおかしいなと感じたら、昨年の賞金王・篠崎さんから『いつも通りの呼吸法だよ』と教わることで、落ち着いて状況をみることができました。先輩の辿ってきた経験を知って、どう生かすのかもシニアツアーのだいご味だと思います」と、阿原の好奇心はどんどん強くなる。さらに「ラジオ体操だけは毎日欠かさずやっています。NHKさんの中継だからというわけではないのですが、ラジオ体操で気力と体力を維持していることは伝えておきます!」と無邪気な笑顔がはじけた。「今日は試合の4分の1しか終わっていないので、あと残り54ホールありますし、自分のペースとパターを信じて戦ってきます」。阿原はこの好発進を生かすだけだ。