前日の第1ラウンドでは西の風5・5m/sが吹き荒れ、選手たちを苦しめた。アンダーパースコアをマークしたのは151選手中24選手。その一人だった杉山知靖は「風に対応しようと低い球を意識し過ぎてショットを左に引っ掛けることが多かったんです。それでホールアウト後に、球筋をドロー系からストレート系にしてショット練習をした」という。
コースでは様々な球筋、弾道を打ち分けて対応しなければならない。しかし、それによって本来のスイングを乱したり、狂わせたりする。コースは順応力、対応力、そして修正力の高低が試される場でもあるのだ。
第2ラウンドもまた風が吹き続けた。前日よりもさらに強まり、西の風6m/s。杉山は前半を1バーディー・1ボギーで切り抜けると、後半3バーディーとし3アンダー・68で上がり、通算スコアを4アンダーに伸ばすことに成功した。
「ショットが風の影響を受けることが少なくありませんでしたが、風向きを意識してプレーするようにしたのが奏功したと思います。後半はグリーンを外したのが1ホールだけでした」と風ゴルフの対応力、順応力の高さを伺わせるコメントを残した。
「第1ラウンドは緊張しましたが、同伴競技者にも恵まれて第2ラウンドは互いに打ち解けたのも好スコアにつながったのかも知れません」。
杉山は中央学院時代に日本アマチュアゴルフ選手権で決勝に駒を進め、あと1勝でアマチュアゴルファーの頂点に立つチャンスを得た。しかし、対戦相手の大堀裕次郎に敗れ、涙を飲んだ。その戦績で今最終プロテストを受験したのだが「日本プロゴルフ選手権への出場資格を頂けるトップ通過が目標です。でも、ハイレベルな選手が多く、決してやさしくはありませんね」
目標達成のため、最終プロテスト開催1週間前に現地入りし、火、水、金、土、月曜日に入念な練習ラウンドをして準備を整えた。幼稚園時代から内田豊プロにゴルフを教わり続けて来たが、大学4年時に首痛に襲われた。良く知る女子プロゴルファーから室田淳、芹澤信雄の専属トレーナーを務める平野氏を紹介され、月に1回の直接ケアと自主トレーニングで体調を鍛え、整えている。心身ともに万全で挑む最終プロテスト。
「ここに立てるのも、たくさんの方々に支えてもらって来たからこそだと思っています。結果で恩返しできたら最高です。明日からの二日間も感謝の気持ちを忘れず、最善を尽くすだけです」と杉山。プロもアマも関係なく、その真摯な姿と言動は、ゴルファーの鑑だ。