2012年の最終プロテスト第4ラウンドのことだった。17番パー3ホール。ティーショットがグリーン左手前の池に波紋を描いた。痛恨のダブルボギー。このショットによって、合格ラインに一打及ばず、涙を飲んだ。あれから5年の月日が流れた。
埼玉県の越生GCで研修生の日々を送り、今年で30歳。永田真樹選手は「くぎりを着ける」決断をし、12回目となるプロテストに臨み、今回で3回目の最終プロテストに漕ぎ着けたのだった。
開催週の前週水曜日にコース入りしたが、首を寝違え、スイングができない体になってしまった。徐々に回復したが、指定練習日の月曜日に再発し、市内の病院を探して痛み止め注射を3本打った。
第1ラウンド79、第2ラウンド77と好スコアを出せない。だが、首の動きがいつのまにかスムーズなり、痛みが消え去っていることに気付いた。第3ラウンドでようやく本来のゴルフが出来、風雨が強まった中で2アンダー・70で回った。通算10オーバー・58位タイに浮上し、あとひと踏ん張りで合格圏内の50位まで食い込める順位に近づいて迎えた第4ラウンド。12番ホールでの3パットでボギーが先行し、迎えた因縁の17番ホール。ピンまで186ヤード。右からのアゲンストの風が吹いている。6番アイアンで花道から転がり寄せるショットをイメージし、放ったボールはピンに向かって行った。「ピンそばには着けられた」感触が手に残る。ボールはピン手前に落下してのバウンド後にグリーン上から消えた。
カップイン。
ホールイン・ワンだ。
「試合では初めてです。5年前のリベンジを果たすことが出来ました」と永田選手。その後は、1ボギーでしのぎ切り、結局パープレーでホールアウト。通算10オーバーに踏み止まり、38位タイで念願の最終プロテスト合格を叶えたのだった。リベンジした会心の「エース」が、トーナメントプレーヤー会員への道を切り拓いてくれた。
(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)