団体戦は関西チームが通算26アンダーで圧勝 第1回大会覇者
倉本会長から優勝旗が贈られた[/caption]
「PGAジュニアゴルフ選手権 太平洋クラブカップ」最終ラウンドが23日、栃木・太平洋クラブ益子PGAコースで行われた。前日の台風9号の影響によりサスペンデッドになった第1ラウンドの残りを消化後、最終ラウンドを9ホールに短縮して行われた。団体戦は関西チームが通算26アンダーで2位の中国チームに24打差をつける圧勝で第1回覇者となった。個人戦は男子が関西チームの岩田大河(大阪学院大高2年)と中国チームの久常涼(津山東中2年)のプレーオフになったが雷雲接近のため2ホール目途中で中止となり両者優勝。女子は、関西チームの松原由美(大阪学院大高3年)が第1ラウンド1打差2位から逆転で優勝した。個人戦の優勝者には来年台湾で行われるシニアプロとアマチュア混合による日本と台湾の対抗戦(2017仰徳台日友好盃)への出場権が与えられる。
個人男子の部で共に優勝となった岩田と久常[/caption] [caption id="attachment_5130" align="alignright" width="300"]
個人女子の部で優勝した松原[/caption]
個人戦男女優勝者を出すなど、関西チームが圧勝した。第1ラウンドを終えた段階では通算4アンダーで2位中部チームに14打差をつけた。最終ラウンドは9ホールになったものの、各選手が好スコアを連発。男子(パー35)では、岩田の4アンダー31を筆頭に、8人中6人のスコアを取っても最低がパープレー35だった。女子も松原、八木涼風(すずか、箕面自由学園中3年)の3アンダー33のほか、6人目のスコアが1アンダー35。男女各6人のスコア合計がなんと22アンダーという驚異的な数字を残した。
男子主将の砂川公佑(滝川二高3年)は「チームワークが発揮できました。高3は僕1人なんですけど、言うことをとてもよく聞く後輩たちで、進んで何でもやってくれた」と感謝した。ホテルでも集まっては作戦を練るなど、団体戦としてまとまっていた。女子主将の松原は「男子と同じ。他の大会では話すこともあまりないライバルたちと、団結して楽しめました。食事中にぎやかでよかった」と、こちらもチームワークを発揮した。
関西チームは関西高校ゴルフ選手権の上位7人と、同中学の優勝者の男女各8人でチームを構成した。オリンピックの年に、全員が優勝の「金メダル」を授与された。「大事にしたい」(砂川)「学校に持っていって自慢します」(松原)と、いつもとは一味違う優勝の気分を味わった。
2位に入った中国チーム。第1ラウンドではスコアを崩し選手が多く通算10オーバーで、関西チームの14打差をつけられた。最終ラウンド9ホールでは、男子では最年少の久常のがんばり、女子では渋野日向子(岡山作陽高3年)が4アンダー32をマークするなど、あきらめずに追いかけ、男女12人で12アンダー、通算2アンダーと第1ラウンドの借金をハーフで取り返し、維持のアンダーパーフィニッシュ。沖田悠輔主将(広島国際学院高3年)は「トップがちょっと行き過ぎでした。悔しいです。個人戦と違ってライバルとチームを組んだのですが、仲はいいので楽しめました。でも、メダルがほしかった。来年は後輩たちにぜひメダルを取ってほしい」と、話した。
優勝候補の一角だった関東チームは、九州、東北チームと3位争いを展開し、通算6オーバーで3位を確保した。女子の山口すず夏(共立二高1年)が最終ラウンドで4アンダーをマークし、個人5位に浮上するなど、各選手が追い上げを見せたが、本来の力を発揮できなかった。「全員、いいパフォーマンスをできなかった。関西が仲間といつもグータッチしたり、声を掛け合ったりしているのを見ると、チームワークの差があったのかと感じました。力の差はないと思う」と、男子主将の今野匠(ルネサンス高3年)。女子主将の臼井麗香(日本ウェルネス高3年)は「みんな仲がいいんですけど、スコアのまとまりがなかった。最終ラウンドはよかったんですけど」。大会前、男子はラーメンと餃子、女子はしゃぶしゃぶ食べ放題で決起集会を開いたが、実らなかった。
PGAとして初めてのジュニア大会で、地区対抗戦という新しい団体戦の形を提示した今大会。倉本昌弘会長は「第1回なので不備があったのはご容赦いただきたい。いま米国などで同じユニホームでチームとして戦うゴルフの団体戦が見直されている。甲子園のような学校対抗戦を地域対抗戦として、団体戦を主として始めた。みんなで力を合わせる。みんなでスキルアップする。人を思いやる。団体戦のよさを感じて、社会に出るための取り組みの1つ」と位置づけている。台風の影響で短縮にはなったものの、PGA、日本高等学校ゴルフ連盟が手を結んだ第1回大会は、選手たちにとって心に残る大会になった。
(オフィシャルライター・赤坂厚)