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日本プロ

〔2R〕 出場資格別のストーリー。予選ラウンド悲喜こもごも。

2016年07月08日
tokimatu

昨年の資格認定プロテスト1位の資格で出場した時松


日本プロに出場するためには、さまざまな資格がある。出場資格の数は18とPGA特別承認者(永久シード選手ほか)の計19ある。過去10年の日本プロ優勝者、過去5年の日本オープン、日本シリーズ、ツアー選手権優勝者、今季のレギュラーツアーシード選手、昨年のこの大会から今大会前週までのレギュラーツアー優勝者・・・と、いわゆる日本のトッププレーヤーから、昨年のプロテスト1位合格者や日本プロシニア、シニアオープン優勝者、ティーチングプロ選手権優勝者など幅広い「プロ」にも出場資格がある。そうした選手にとっては、日本プロは「晴れ舞台」でもある。また、将来のチャンスを広げる場所でもある。

時松隆光(23)は「昨年のプロテスト1位」の資格で出場した。予選ラウンドの同組は、1位合格者恒例の「好ペアリング」で永久シード選手尾崎直道、2度の賞金王で4年ぶりにツアー復帰戦になった伊澤利光とのラウンド。いつもは人懐こい笑顔の時松も「僕が2日間ピリピリです。でもそれがよかったのかもしれません」と、この日は1つスコアを落としたが通算2アンダーで13位につけた。

「小さいときに、九州の試合で伊澤さんが来ると見に行っていました」という憧れの選手。2日間ともにして「いろいろ勉強になりました。最高の収穫です。伊澤さんのスイングのテンポとか、いいところは真似したいです」と、スコアよりも2人から技を盗むことに必死だった。ツアーでは珍しいベースボール・グリップでプレーする。「5、6歳でゴルフを初めて教わった篠塚さん(武久、九州のトップアマ)がケガをしない、体に優しいスイングということで教わった。ずっとこのグリップです。指を痛めない、腰に負担をかけない」という。

目標は「トップテンに入れれば」という。出場資格に「前年の日本プロ10位以内」がある。まだシード権を持たないため、出場資格を取るのが第一目標なのは当然。そのためには?「もう、いいか悪いかでいいとおもいます。68か78か、みたいな。はでにやるしかない」と、決勝ラウンドで勝負に出る。


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上田は岐阜オープン優勝者の資格で出場


上田諭尉(42)は「過去1年のPGA後援競技優勝者」の資格で出場できた。4月に出身の岐阜県で行われた「岐阜オープンクラシック」を制して「日本プロの予選にエントリーしていたんですけど、資格を先に取れてよかった」という。専大では横田真一の後輩。プロ入り前、横田のキャディーを初めて務めたのが1995年の日本プロだった。「この雰囲気がよくて、プロになったら出られると思ってプロになったようなものです」と笑う。自身の原点の大会でもある。

この日はイーブンパーからスタート。「予選カットは2オーバーと思っていた」という。ただ、大会前にぎっくり腰になって、いつ爆発するか分からない状態。7番でOKバーディーを奪い、11番では2メートルを沈めて一時は1アンダーにしたが「後半からは、パター構えても腰が痛んで。でも、何とか予選通過したいと思った」と、足を引きずりながらも通算イーブンパーを守り、25位で決勝ラウンドに進んだ。「日本プロですから、どんなことがあってもあと2日やりますよ」と、超音波治療などをしながら上位を目指す。


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昨年のティーチング選手権優勝資格で出場の内藤


うまくいった選手だけではない。「ティーチング選手権優勝」の資格で初めてこの大会に出場した内藤裕之(40)。高3で北海道に来て、札幌学院大出身、北海道ジュニア、学生、アマのタイトルを持っている。初日は1オーバーで回ってこの日。インスタートで折り返した11番までに3バーディー、1ボギー。一時は1アンダーまでスコアを伸ばした。「そこまでができすぎだったのだろうと思います」と振り返ったように、3番でトリプルボギーをたたき、6,7,9番でボギーと7ホールで6オーバーで予選通過の圏外に。「これが今の自分の実力なのかなと思います」というが、2日間はティーチングプロとしていい勉強になった。「厳しいセッティングで必要とされる技術、何を見につけないといけないかということです。詰めの甘い今日の私のようにならないよう、自滅しない選手をこれから育てて行きたい」。日本プロの経験は引きつがれていく。


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平石は日本シニアオープンチャンピオンの資格で参加


平石武則(56)ががっくりとしている。「日本シニアオープン優勝者」の資格で来た。レギュラー時代、何度も出場してきた。それでも「なんか場違いなところに来た感じ」と緊張していた。初日1アンダーで回って落ち着いて迎えたこの日。「打つとこ打つとこ全部左足上がりとか、トラブルばかり。難しいね、こういう日もあるってことです」と80をたたいて予選通過はならなかった。「レギュラーは6年ぶりか。一緒に回った若い選手とは100ヤードも置いてかれる。やっぱりゴルフ人生長いからといって、簡単には予選を通らせてくれへんな」と最後は笑いもでた。シニア専念だったが、若い選手と回って少し気持ちも変わったよう。「あと、日本オープンにも出られる。気合入れてやったる」。若返りの効果も、この大会にはあるようだ。


さまざまな出場資格でプロ日本一を目指す大会。優勝すれば10年出られる。10位に入れば来年出られる。そんな「権利」の争いも見逃せない。

(オフィシャルライター・赤坂厚)