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日本プロ

〔1R〕 久しぶりの試合で大きく出遅れた石川と伊澤

2016年07月07日
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久しぶりの試合、厳しいセッティングのコース、ギャラリーの目。日本ツアーで頂点に立った経験者にとっても、甘くはないのだろう。

腰痛のため、2月に米ツアーを離脱して治療をしてきた石川遼。5カ月ぶりにスタートホールに立った。やはり、ギャラリーは多い。第1打、フェアウエーをとらえた。歓声が沸く。「出だしはよかった。緊張感もありましたけど、ティーショット、セカンドショットもけがをする前よりうまくなっていると思った」と振り返る。腰に負担のかからないスイングに取り組んできた。やってきたことは間違いではなかったと思えた。

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石川遼

しかし、練習と試合では気持ちも体の反応も違う。いい気分でスタートしたが、すぐに11、12番でボギーをたたく。13番では奥のラフに打ち込んだ。「あれは完ぺきなロブショットだった」というアプローチが直接入って、復帰戦初バーディー。これで波に乗るかと思ったが、そうはいかなかった。「パッティングが思ったところに打てていなかった。そのへんが試合を積んで、試合の中で調整していくということですね。アイアンも縦の距離感。飛んだり飛ばなかったりする。新しいスイングで球のスピン量や球の質が変わっているのですが、元のとおりに打ってしまっていた」という。試合を離れるというのは、こういうことなのだろう。15番では1メートルほどのバーディーパットを右カップに蹴られ、80センチほど返しも外して3パットのボギー。そこからバーディーは取れず、歯車を戻せなかった。

前日の公式会見で「ゴルフは1日休むと3日ぐらい後戻りするもの」と話していた。クラブを振り始めたのが4月というので、2カ月以上は休んだだけに、後戻りを取り返すのは大変な作業だ。ただ、試合に出たことでプラス面もあった。「フルスイングしても痛みがなかった。回ってよかったなと思います。今日の5オーバーというスコアに関しては、そういうゴルフだったと思います」と、試合をしたことであらためて分かったこと、納得できることがあった。

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伊澤利光

 伊澤利光にとっては、ツアーの舞台は4年ぶり。石川の比ではないブランクがあった。久々の舞台でのスタートホール。「練習場が良かったんで、安心して、比較的自信を持って打てたと思いますよ。小さな試合をやってきて4試合目なので今日が一番気楽だったかも」と振り返る。10番スタートでパーを3つ重ねた。13番の初ボギーから苦しみが始まった。14番では第1打を左の池に入れてダブルボギー。ボギー、ダブルボギーが止まらなくなる。2番パー3ではトリプルボギー。15ホール目の6番のボギーで13オーバー。2度の賞金王も、ニクラウスの設計、公式戦のセッティングでは、練習場や地元の試合にはないものを求められる。「まだまだ練習不足。変なところで力が入ったりね。風の環境でやったのも久しぶりだし。グリーンを外す機会も多かった。パーを取れなかったり、ボギーを取れなかったり、でした」と振り返った。

それでも、やはり試合に出たからこその充実感もある。8番パー5、残り220ヤードの第2打を3番アイアンで1メートルにつけるイーグルを奪った。「気持ちよかったですねえ」と、笑顔がのぞいた。「一緒に回った時松選手(3アンダー)がいいプレーをしていた。ああいうプレーをしないとアンダーパーは出ない。勉強になったなと思う。(尾崎)直道さんの我慢強さも勉強になりました」。25歳年下と、今年還暦を迎えた12歳年上の同伴者から学べたのも、ツアーの舞台に戻ったからだった。

大きく出遅れた2人だが、2日目は来る。

石川 (久しぶりのギャラリーに)やっぱりこういうところで勝つことを目指していますので、再認識しました。正直、自分のプレーはまだまだだったなと思います。ショットが良くなれば3アンダーぐらいは望める状態かなと思うので、あきらめずにやっていきたい。

伊澤 数字的には悪いけど内容的には悪くない。上がりは良かったので、あのプレーができればパープレーとかでは回れると思いますよ。他のプレーヤーが逃げても、僕はいっちゃう性格なんです。安全にはいけないんですよ。

言葉には出さないが、たぶん「不安」を抱えていたであろう初日を終えて、うまく行っていた時の「気持ち」は取り戻せたようだ。

(オフィシャルライター・赤坂厚)