天気予報とは違って、福岡地方では朝方に雨が降った。スタート前に雨は上がったものの、木枯らしを思わせる冷たい風が吹き始めた。
「風が吹いて、難しいコースコンディションになったな」。
クラブハウスに到着した高見和宏はスコアメイクの難しさを察知し、ティーショットの良否がスコアに直結すると判断した。
「戦略的なコースですし、攻め甲斐、守り甲斐がある。たとえばドライバーショットでは左右(の方向性)だけでなく縦の距離感をしっかり出さないといけない。今日はドライバーショットがラフに行かず、フェアウエイからアイアンショットが打てたし、パットのタッチも合っていました。上出来、150点のゴルフでした」とホールアウトした髙見は笑顔が絶えない。
5バーディー・ノーボギー67をマークして首位に立った。両肩の痛みが癒え、これまでとは違って、今年はツアー残り3試合時点で賞金ランキング8位、来季の賞金ランキングシードを確定させており、精神的な余裕もある。
「一緒の組で回った高松(厚)が賞金シードのボーダーライン上にいるから、僕はプレーの邪魔しないようにと思っていたんですよ、実は。僕の賞金ランク順位は、上(位)とは5、600万円も差が開いていて、すぐ下(位)の(尾崎)直道さんとは40万円くらいの差しかない。直道さんには抜かれたくない」。
そんなモチベーションで試合臨み、前半はパット数11、バーディー奪取3ホール、1パットでのパーが4ホール。パーオンを逃しても絶妙のアプローチでパーセーブし、後半で2バーディーを奪い、スコアを作り上げた。
「明日(最終日)は逃げますよ。守ろうとしても守り切れるコースではありませんから、攻めて行きます。ツアー残り3試合のうち、1試合は勝ちたい」と優勝奪取宣言。
「攻撃は最大の防御」作戦で髙見は最終日を戦う。