プラヤド・マークセン(50)が、まさかの失速で2位に終わったが、自身の今季シニア最終戦で賞金王を確定させた。今季賞金額を6227万8000円とし、2013年室田淳(6207万4000円)を抜いてシニアツアー史上最高額を獲得。ルーキーイヤーでの賞金王は1988年ツアー制度施行後、5人目の快挙となった。
最終日、通算8アンダーで2位に2打差をつけてのスタート。ここまで公式戦2勝を含む4勝と夏場以降は圧倒的な強さを見せていただけに、今回もすんなり逃げ切り勝ちのムードだった。ところが、1番パー5で第2打をグリーンオーバーさせて、アプローチも「難しかった」と寄らず、パーでスタート。2番のティーショットを右にスライスさせて、歩き出すなり「ウォー」と声を上げるなどいら立っている様子だった。同伴の清水洋一も「途中で加瀬さんと、きょうはいらだってるなと話した」というように、いつものようなショットの切れがなく、なかなかバーディーチャンスにつかない。3番でボギーにした後、7番パー5では第1打を左ラフに入れ、第2打を右ラフの深いところへ。3打目でグリーン手前にショートし、1・5メートルに寄せたが、カップに触らずに外してボギー。ここで明らかにいらだっているのがわかった。
14番で1・5メートルのチャンスを外し、15番では左の林方向に打ってボギーと、通算5アンダーに後退。先に6アンダーでホールアウトしていた田村に1打差の2位に後退してしまった。最終18番パー5もフェアウエーから2オンに成功したが、右15メートル以上残し、ファーストパットを1メートル強オーバー。入れれば田村に追いつくパットは、左カップにけられて、まさかのバーディーなし、通算5アンダーで今季シニア最終戦を終えた。
突然の崩れ方に理由を聞く前に「今日はパッティングが全然ダメ」と日本語で悔しさを表した。この日朝、雨が降った。そのため、グリーンが軟らかくなり「濡れていたのでスパイク跡がついていて難しかった」という。条件はみんな一緒だが、マークセンにとってはかなり気になったのだろう。最終18番のパットについても「スパイク跡ではねてしまった」と振り返った。
それでも、シニアツアー賞金王として最高獲得賞金額の条件だった「2人までの2位タイ」をクリア。初賞金王に、新記録で花を添えた。シニアデビューした当初は、レギュラーツアーよりも距離が短く、グリーンも遅いシニアのセッティングに慣れずにいた。8月のマルハンで初優勝を飾った後は、圧倒的な飛距離とショートアイアンのうまさで日本シニアオープン、日本プロシニアの日本タイトル2冠など4勝。他の選手にとっては「マークセンを倒せ」が目標になるほどの強さを見せた。
「初めての年で賞金王になれてうれしいです。賞金王については深く考えていなかったので、実感は少しずつわいてくると思う」とはにかんだ。アジアンツアーで賞金ランク2位があるが、初めての賞金王獲得だった。
今年のシニアツアーはこれで終えて、次はレギュラーツアーの三井住友VISA太平洋マスターズ、ダンロップフェニックスに出場する。来季は今季同様に日本のシニア、レギュラー両ツアーを掛け持ちする。「どっちも自分には大切。でも、来年はシニアツアーの方が多くなると思う。コースの相性をみて決めたい」と話した。