今季シニアを席巻するプラヤド・マークセン(50=タイ)に、シニア屈指の飛ばし屋、加瀬秀樹(56)が挑む展開になった。
快調に走るマークセンが、トラブルに見舞われたのが16番だった。「キャディーと話して5番ウッドでティーショットした」のが、左に引っかけて林から出たところへ。木がスタイミーとなり「サンドウエッジでフックをかけようと思った」ところが右へでてしまい、木に当たって右にはねて林の中へ。今度は前方の木を越えようとしたが「距離が足りずに」バンカーの目玉に。1度で出ず、5打目でグリーンエッジへ。そこからパターで打ったが入らず、まさかのトリプルボギーにした。
そこまでは、今季公式戦2勝を含む4勝、賞金ランク1位らしく、スコアを伸ばしていた。「ピンタイプの前のパターに戻した」と、前日感触がよくなかった新パターをあきらめて、調子を取り戻した。アウトで2つ伸ばし、インに入って10番で2・5メートル、11番で1メートル弱、12番では2・5メートルの3連続バーディー。15番では50センチにつけて通算10アンダーと抜け出していた。
同組で「どんなゴルフをするか見たかった」と言っていた加瀬。「ショートアイアンの精度が高い。残り100ヤードぐらいまで飛ばしたら、寄る確率は70~80%。ピッタリ行くだろうなと思ってみていたらやっぱりピッタリ行っていた」と、ほぼ脱帽していた。ドライバーの飛距離でも「10~20ヤードぐらい違うかな。たぶんマークセンはキャリーで280ヤードは行く」と、感心した。それでも、2つのショートホールでは対抗心をみせた。4番(213ヤード)では「マークセンが5番アイアンだったから、オレも5番を持った」と1メートルにつけた。13番(188ヤード)では「マークセンが6番アイアンだったから、オレも6番にした」と3メートルにつけた。この2バーディーが効いて自身も13番までに2つ伸ばしたが、4打差がついてマークセンの独走気配だった。
そのマークセンの突然の崩れ。1打差になった加瀬は「希望の星に見えた」という。17番で3パットして2打差に広がったが、18番パー5では「マークセンは取るだろうから、左の池が嫌だけど自分もバーディーを取らないといけないと思った」と、2オンを狙ってグリーン右のバンカーに入れ、そこから30センチにつけて、グリーン右奥のエッジまで第2打で運んでいたマークセンともども、バーディーで上がった。「取ろうと思って取れたのは大きい」と加瀬は言う。
最終日も2人が最終組で対決する。マークセンは初日首位になった時点で「80%」といっていた優勝確率について「加瀬さんが来たので上乗せはできない。セイム」と、それでも80%の自信。一方の加瀬。逆転の確率は?「50%」。高い?低い?「チャンスありの50%。つけいるスキはあるかなと思う。しぶといゴルフを見せて、チャンスを待つ。どっかで何かあるかもしれない」。
2人の飛ばし合い、せめぎ合い、きっと見応えがありそうだ。
(オフィシャルライター・赤坂厚)