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シニアツアー

<News・1R>三足のわらじを履く植田が出会った幸運の3Wと5W

2016年09月08日

第1ラウンド前日、練習日の夕方のことだった。試合に備えてドライビングレンジで、ボールを打っていた植田に声が掛かった。「これ打ってみるか」。植田を昔から良く知る仲間の声だった。手にしていたのは3番ウッドと5番ウッド。5番ウッドから試打させてもらうとボールの打ち出し角が思いほか高かった。それでいて距離も出ている。2球打った後、すぐに3番ウッドで1球打った。3番ウッドとは思えないほどボールは高く打ち出された。まさに植田が追い求めていた高弾道、しかも飛距離をもたらしてくれたのだった。

「イメージどおりに上がって飛ぶんですよ(笑)。すぐさま『遠慮なく使わせてもらいます』って半ば強引にゲットしました。こんなにぴったりなクラブと試合直前に出逢えるなんて、ホント嬉しいんです」と、植田は顔を緩めた。

 ツアープレーヤー、ゴルフ場支配人、PGA副会長と三足のわらじを履いている。大好きなゴルフのため、ゴルフに尽くす日々が続く。以前よりも、練習ができず、飛距離は落ちてしまった。今年は思うようなプレーができず、好成績も残せないままシーズンの半分が終わってしまっていた。

 不安な気持ちで挑んだ先週のアルファクラブCUP。最終ラウンドの残り9ホールで、スイング不調のきっかけをつかんだ。

「ドローボールを打つスイングが極端になっていたみたいなんです。それを矯正するため、ショットの前に、フェードボールを打つ軌道で素振りをするようにしたら、気持ちよく振り抜けるようになり、しかもドローの曲がり幅も抑えられるようになったのです」。

 ショットを安心して打てるようになったことで、パッティングも自信を持って打てるようになりだした。ショットとパットの好循環。そんな経緯があって迎えたコマツオープン第1ラウンド。

「スタートホールで8メートルが決まってくれたあとに、プレーが中断。再開後の2ホール目でも1・5メートルのバーディーパットが入って連続バーディ。その後は風がクルクル回っていて、風向きを読み切れず、5メートルのパーパットも入ってくれたりもしてパーセーブするのが精一杯でした。いい流れがあったのかなと思います」。

 最近はしぶといゴルフをするようになって来た植田は、厳しい環境のほうが、不思議と好プレーを展開することが多い。

「この大会は、プレーオフまで残れたこともありますし、相性の悪くない大会なんです。だから、復調のきっかけになれば嬉しいですね」と、ようやく植田の笑顔が広がった。

12年大会では尾崎直道にプレーオフで敗れている。今回こそ、リベンジを果たしたい。