米山と鈴木。これからのシニアを背負っていく期待を持つ「若い」2人が、自分の個性、持ち味を出してきている。
首位に立ったのが米山。7バーディー、ボギーなしのほぼ完ぺきな内容だった。インスタートの10番で3メートルを入れるバーディー発進。5番30センチ、9番1メートル、13番30センチ、17番50センチと「ドライバーが飛んでいる」ことでパー5では第3打がアプローチになることもあるが、ピンにくっつく「危なげない」バーディーを積み重ねた。
「ボギーなしが続いているのは、ショットが安定しているからだと思う」という。先週の広島シニアで最終日に8バーディー、ボギーなしの63をマークしてプレーオフまでいったが、真板に敗れた。広島シニア初日17番から38ホール連続ボギーなし、2大会でまだボギーはわずか2つ。「どうしたんでしょう」というが、思い当たる理由に挙げたのが「アイアンを3本替えたからかな」という。
3本ってどういうことなのだろう。「ハーフキャビティーのアイアンのうち、ピッチングと8番、6番を替えたんです。古いセットを使っていたんで」。理由を聞くと「全部替えると不安なんですよ。でも、セットの中に違うのが入っていると、その特性がわかるし、新鮮で気分転換になる」と、おもしろい「自論」を披露する。普通なら、シャフトなどクラブの特性を統一するためにセットごと替えるのだが、米山はそうではないらしい。「1本だけ違うのが入っていたりよくありますよ」と笑う。この日も替えたばかりのピッチングウエッジで1番、8番アイアンで9番のバーディーを生み出した。
米山の後ろの組で上がってきた鈴木。スコア提出所に向かう時に顔を合わせた米山に「7つですか」と声をかけた。日大では米山の2年後輩。5アンダー67で回った自分のプレーには「ボギーが先に出たので、ナイスプレーです」と振り返った。
インスタートの11番で「前に打った人が左のがけ下に落としたんで左に行きたくないと思ったら右の林に行ってしまった」と、ボギーが先行する。それでも12番で3メートルを入れてから3連続バーディーと一気に取り返した。5アンダーに伸ばして迎えた6番でグリーンオーバーするボギーで「流れを止めてしまった」というが、続く7、8番で難しいアプローチを寄せてパーでしのぎ、最終9番のOKバーディーにつなげた。
「たぶんシニアになって初めて、流れを感じるゴルフができた」という。今季スターツシニアでシニアデビュー。レギュラー時代の感覚がシニアのセッティング、特に遅いグリーンのスピードに戸惑ってきた。今回はグリーンコンディションがよく速いセッティング。「考えてみると、勝っている試合はみんなグリーンが速いコースなんです。今回は自分のタッチに合っているんだと思う。ラインを作るのに慣れている感じなんです」という。
シニアでの戸惑いは、グリーンだけではないという。「ティーショットが優しくないコースも多いのに、みんな、ティーショットでドライバーを打つのにびっくり。それで曲がらないからうまいなと思った。自分もつられてドライバーで打って曲げていた」と、先輩たちのコースマネジメントと、自分のが合わないこともあった。この日は3ホールで3番ウッドを持った。うち、14番と9番ではバーディーとして「いままで刻もうという気持ちになれなかったけど、もう少し頭を使っていいのかも。自分のマネジメントを考えてもいい」と、先輩たちに流されないコツをつかんだようだ。
昨年デビューの米山はこれまで2位3回。鈴木はマルハンで初日首位ながら逆転負けを喫した。ともにこれからのシニアの中心選手として期待されている。どちらも当然「早く勝ちたい」と思っている。「1日5,6個は取っていかないといけない」(鈴木)というバーディー合戦の様相だけに、爆発力のある2人には、大きなチャンスが巡ってきそうだ。
(オフィシャルライター・赤坂厚)