同組でプレーした高校生ゴルファーの吉田好輝選手が、アマチュアらしい小気味よいゴルフを展開していた。
「思い切り良いパットを打つんだよね。ゴルフを続ければ続けて行くほど怖さを知って打てなくなる。カップインの仕方もシニアともなると手前の縁からポロンと入る感じ。それに比べて彼のパットは、カップ奥の縁に当たって入る。(カップオーバーや返しのパットなど)余計なことを考えず、目の前の一打に集中していたし、ピンしか見ていないようなゴルフをしていましたよ」
そんなアマチュアゴルファーがプレーしやすいように気遣いながらのラウンド。吉田選手が自己ベスト66をマークしたが、それに引っ張れるように当の「気遣いシニアプロ」の水巻善典も好プレーを展開。終わってみれば6バーディー・ノーボギー65をマークして、首位に1打差の2位タイでフィニッシュ。「17番ホールでバーディーを奪い、自分は5アンダーかなと思って帯同キャディーにスコアを尋ねたら6アンダーだったんです(笑)」明日の最終日は最終組で優勝を争う。
「ツアー日程が続かないと試合勘を失ってしまう。ファンケルクラシックからの連戦でようやく試合勘がほぐれだし、ゴルフをする感覚を取り戻せて来ました。自分としては日本シニアオープンで本調子のピークを持って行きたいと思っています。
最終組? いつ以来なのかよくは覚えていませんよ。せっかくの好位置ですからまずはオーバーパーを打たないようにし、2位タイの順位でアンダーパーのスコアをコントロールできたらいいですね」
ファンケルクラシック最終日の表彰式でのこと。優勝した室田淳のウイナーズスピーチを聞きながら、隣にいた奥田靖己と会話した。「俺たち優勝スピーチを久しくしていないね」。11年の榊原温泉シニア以来、勝利の美酒から遠ざかっている水巻。最終日最終組は13年コマツオープン以来となる。優勝スピーチのブランクに終止符を打てるか。もう聞き役に回る理由は、どこにもない。