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シニアツアー

〔1R〕それぞれのこだわりが最終日にどう影響するか

2016年07月02日

クラブの扱い方、プロゴルファーにとってはもっとも気にするところ。ドライバーとパターは、クラブの中でもより一層気を使う。

1イーグル、5バーディーの67で2位につけた真板が、大事そうにドライバーを見せてくれた。「使って3年目。このドライバーと今のボールになってから、確かにレギュラー時代よりも飛んでいる。でも、みんな、けっこう(ヘッドが)割れちゃっているんです。割れると困るんで、普段の練習はこれでは打たない。大事にしないとね」。練習で打たないドライバーが、真板にとっては「宝」。この日も、その威力を発揮した。

1番パー5(520ヤード)では、残り200ヤードに置いた。4番アイアンで2オンしてバーディースタート。9番では残り215ヤードを7番ウッドで2オンのバーディー。11番パー5(479ヤード)では残り186ヤードを6番アイアンで5メートルに2オンし、イーグルを奪った。このコースでスコアメークのカギを握るのは、2オン可能なこの3つのパー5。そこで4アンダー。同組で回った三好隆は悲鳴を上げる。「ティーショットがいつも50ヤード置いてかれるんや。そんなやつと組まさんといて。勘弁してよ」。大事にしていると、ちゃんと働いてくれるものだ。

真板と対照的にドライバーで悩んでいるのが、67をマークして4位の奥田。「去年まで使っていたエースドライバーが割れちゃってね」。真板の言うとおり、割れると大変らしい。「新しいのを試しているんやけど、どうしてもエースドライバーが決まらない。しっくりいかない。シャフト替えたり、いろいろやっているんやけどねえ」と、ティーショットに今は自信がない。

この日のスコアを支えたのは、パターだった。今季からアンカリング禁止で、体の一部にクラブをつけて固定することができなくなった。いわゆる長尺パターを使用している選手の大部分は、体にグリップを接着させて固定して使っていたので、スタイルの変更を余儀なくされた。奥田は10年以上前から長尺パターを使っているが「最初に体につけてみたけど、クラブが動かなくて1日でやめた。体から離すと動くようになったんで、ずっと体から離している。アンカリングが禁止されても違和感なく打っている」という。5バーディー、ボギーなし。体につけない長尺パターの扱い方を聞いた。「(グリップエンドの)左手は軽くおいているだけ。グリップの下を持つ右手で打っている。イメージは『レレレのおじさん』(笑い)。あのほうきで掃いているイメージがリズム感になっている」と、ほうきを掃く仕草を何度も見せてくれた。ドライバーの悩みをパターで補う。好スタートを切った。

2位につけた羽川豊。こちらはアンカリング禁止のルール改正で苦しんだ。この日は1イーグル、5バーディーの65。久々の爆発だった。11番パー5では80センチに2オンするイーグルを奪うなど、1メートル前後のイーグル、バーディーパットが5回。ショットがついた。12番で8メートルをいれた。「今季初だね、あんなに長いのが入ったのは」と笑った。ショットでスコアを作った。

ルール改正を見越して昨年9月から普通のパターで試合に出るようになった。しかし、思うような結果が出なかった。「半年ぐらい悩み続けて、もう短いパターはやめたって、開き直った。入らないもん」と、今季はまた長尺に戻した。といっても、それまではアンカリングをする打ち方だったので体から離して打たなければならなくなった。「離して打つと(アンカリングしていた)それまであった軸がなくなってしまうんで、安定感がないよね。でも、安心して2パットでいけるよね。これまでのアイデアもあるし」と笑った。パッティングに今は自信がない。

使いなれた道具は、スタイルが変わっても気持ちに安心感を与え、なくなると不安いっぱいになる。これもシニアのこだわりの1つ。最終日に、それぞれのこだわりがどう影響するだろうか。

(オフィシャルライター・赤坂厚)