5アンダーの首位とは5打差のイーブンパーでスタートした奥田靖己が一気に38人抜きの「やる気一杯」ゴルフで首位に2打差の2位タイに急浮上。逆転優勝の望みをつないで最終ラウンドを迎える。
第1ラウンドでは1バーディー・1ボギーに終わり、奥田はイーブンパーのスコアによって「やる気スイッチ」がオンとなった。第2ラウンドは1イーグル・7バーディー・1ボギーの64マークしたのだ。
「コースが広いからある程度(ショットが)曲がっても飛ぶ人が有利で、毎年パット合戦のイメージが強い大会。でも、今日はパットラインをキャディーさんが良く読んでくれたお蔭で6、7メートルのバーディーパットも入ったし、ピンを狙ったショットも良く絡んでくれた」。奥田は自分ショットを生かしてくれた「ライン読み」の達人キャディーを褒め称えた。
カップ位置がグリーン左サイドならドローボールを、右サイドの場合はフェードボールと球筋を打ち分け、距離のあるパーオンショットでは手前の花道止まりでもOKと割り切って攻めた。その攻略プランが見事にハマり、パットも決まっての8アンダー。爆発力を見せつけた形だ。
今年は2、3戦目の最終日、残り5ホール時点で首位の座に就きながら優勝を逃して来た。「トップに経つとしくじって(勝利を逸して)いますからね。守りのゴルフになってしまうのかな。あともう一つ、もう一つ(スコアを伸ばす)と思っている方がアグレッシブにゴルフが出来るのかもしれませんね」と、首位ではなく2位タイで迎える最終ラウンドをプラス思考で捕えている。
シニア入り以来、6年連続で全英シニアオープンに挑み、今年もまたマンデートーナメントから挑戦する気持ちが95パーセントだという。
「ゴルフ発祥の地へ行き、全英シニアオープンのマンデーに挑戦し、そして本戦に出場することは、本物のゴルフと唯一触れ合えるチャンスなのだと思っています」。これまでマンデートーナメントに4回挑戦して、4回とも本戦出場権を獲得した実績があるものの、大舞台の本戦では忘れられない様々な経験をしたという。
「14年大会最終日では、強風の中3アンダーをマークして30人抜きして(翌年大会の出場資格獲得となる)15位タイまで順位を上げ、最終ホールを迎えました。しかし、パーンショットがグリーンを捕えず、寄せはザックリのミスショットでガードバンカーに打ち込み、そのバンカーから打ち出すのに5打も費やし、結局10打でホールアウトして52位タイまで急降下したんです。苦い経験でもあり、課題を頂いた思いにもなり、そして、次こそ!という起爆剤にもなるんです。(挑戦の)チャンスがある限り、何度でも行きたい。
(高松)厚と毎回挑んでいるので、一緒に行けるようになれば100パーセントの決心になります」。
渡英前にまずは優勝を飾りたい。その思いはある。なぜなら「今日のキャディーさんはこのコースの研修生だったのですが、明日も(キャディーを)お願いしたんですよ」。ニタリと笑いながら奥田はそう言ったからだ。