「久々のノーボギー!」と笑いながら第1ラウンドでの好スコアを喜んだのは、高見和宏、56歳。気温27・8℃。心地よい汗が頬を伝う。
ボギーは打たない半面、バーディーが取れないゴルフが続いていた。その理由を自己分析して導き出した答えは「飛ばし封印&自分のゴルフ貫徹」だった。
「練習ラウンドで室田(淳)さん、加瀬(秀樹)さん、崎山(武志)とか飛ばし屋と回って、つい自分も飛ばそうとしてしまう。肩を痛めているのに飛ばしで勝負できるわけもないから、(ショットを)曲げないことを意識するようにしようと考えるようにしたら、ゴルフが楽になりました」
3年前のことだった。バスの階段で足を滑らせて転がり落ち、その際に左肩の筋を痛めた。シード権を確保するため、左肩痛を感じながら試合に出場し続けた。シード権を保持できた代わりに、今度は左肩をかばうスイングによって右肩を痛める。五十肩。「右手を後ろに引けないくらいの痛みが走るんですが、そんなことにも付き合っていかなければいけないのがシニアなんでしょうね」
飛ばしを封印し、グリーン周りからの寄せとパットでスコアを作る。高見本来のゴルフに立ち戻ったことで、好スコアをマークした。
「他の選手が3番ウッドでティーショットするホールで、僕のドライバーショットの飛距離なら大丈夫だとわかればドライバーで打つ。自分のスイング、ショットを信じてプレーしたら、こんなスコアが出ました。飛ばしは有利でも、ゴルフは飛ばしだけでもない。方向性優先のゴルフでもいいんだという確信を持てたラウンドになりました。残り二日も、このゴルフが出来たら最高です」
練習ラウンド仲間の一人でもある崎山武志と首位の座を分け合った第1ラウンド。「もうアイツ(崎山)は勝たなくてもいいでしょ?(笑)。ただ、誰よりもトレーニングしているし、誰よりも遅くまで練習しているから、一目置いています」と高見。
肩の痛みに関しては「今日みたいに暑いと痛みが出ません。雨の日だと痛みます。風はいくら吹いても構いませんから、残り二日間も暑い日が続くいいんですけど」。
快晴!快汗!そして12年ファンケルクラシック以来のシニアツアー通算3勝目の快感!をぜひ得たいと高見は願っている。