5アンダーをマークしたスコアカード提出後、キャディーバッグを積んだ乗用カートに歩を進めながら崎山武志は声を上げた。「最後、悔しかったなぁ」。
シニアツアー第3戦目のKYOURAKU CUP 2016で今季初優勝を飾り、2試合連続優勝の記録が掛かる崎山が6バーディー・1ボギーの67、5アンダーでフィニッシュし、首位タイの好スタートを切った。優勝に近づくためには一つでもスコアを伸ばしておきたい。その気持ちがスコア提出後、声になって思わず出てしまった。
スタートの1番ホールから6番ホールまでパーを重ね、7番ホールでこの日初のバーディーパットが決まった。その距離1・5メートル。次の8番ホールではパーオンできず、3打目を寄せ切れず、パーパットを外してボギー。しかし、9番ホールで上り1・5メートルのバーディーパットを決めて、1アンダーでバックナインに向かった。
10、11番ホールで連続バーディーを奪い、14、17番ホールでもバーディーパットを沈めて、迎えた18番パー5ホール。1・5メートルのバーディーチャンス。軽いスライスラインと読み、カップ左縁を狙って打つもりが、それよりもほんのわずか左に打ち出してしまい、バーディーフィニッシュを逃してしまったのだった。
「昨日のプロアマ大会ではバーディーが取れていましたが、思うようなショットを打っての結果ではなく、試合ではどうなるかのちょっとした不安がありました。でも、いざコースへ出てみたらショットが復調し、パットのタッチが合っていました(笑)。
とにかくパットが良かった。イメージ通りに気持ち良くストロークできて、カップインしなかった時は50センチオーバーでボールが止まり、タップインできました」
昨年からパットスタイルを変えた。米国チャンピオンツアーのファイナルクォリファイングスクール(ツアー出場優先順位決定戦)に出場した崎山は、日本とは異なる芝質のグリーンにも苦労し、その対処法を模索して辿り着いたのが「パターロフトのアップ」だった。
「パターフェースのロフトを増やすことで、打ち出し当初のボールの跳ねが若干多くなり、その分パットラインから外れにくくなったのです。
以前は構えてからフォワードプレス(グリップ位置を一旦目標方向へ押す動作)後にストロークをしていましたが、今はそれをせず、逆にハンドレイト(グリップ位置がヘッドよりも後方に位置する)の構えからパットしているのでまだ不安があり、慣れきってはいません。でも、パットが決まっているので続けているんです」。
スタートから6ホール連続パーのスコアにも痺れを切らさなかった。「(パーのスコアに)我慢していれば必ずバーディーというご褒美がやって来る。そのことをKYOURAKU CUPで学びました。ですから、今日は何も焦りませんでした」。前試合で勝ち方を一つ覚えた崎山が、勝利へ着実に歩を進めている。