一時は、2アンダーが7人、1アンダーが11人。イーブンパーが23人と、まさに大混戦の初日だった。コースに吹く風が、舞っていて読みにくい。ピンの位置は、全体的にグリーンの奥目。さらに、昨年までグリーンに載ったボールが弾かれるケースが多かった残像で、選手たちはタテの距離感に悩んでいた。そんな中、インの10番からスタートした溝口英二は、前半を1ボギー、2バーディの35。そして後半のアウトでは、ノーボギー、4アンダーで32。通算67の5アンダーで単独首位にたった。
「昨年(シニアルーキー年)は、手探り状態で、あっという間に終わってしまった感じですね。終わってみれば、シード落ちして、今年の予選会にでて、結果8位となったわけですが、ひとつひとつ試しては、やり直すの繰り返しで来たという感じです。でも、この前(ノジマ)の試合でも、最終組のひとつ前でプレーできましたし、ゴルフの内容は悪く無いんですよ。僕は(性格的に)去年の成績をしっかりと受け止めて、いまの自分の(ゴルフの)状態が、ここにいるならば、次の階段はこうやって登ろうと、前向きに考えているんです。いろいろ、あれこれ悩み足組んでもうまくいきませんから。散々、やってきたんです、そういうことを。ですから、前向きに、いまの自分、そして次の階段へ行く自分と、自分を認めた上で目標を持とうという気持ちでいます」
少欲知足という言葉がある。少ない欲で、足るを知るという意味だけれど、それは、無理せず、着実に自分の階段を組み立てて、一歩一歩登っていくという意味でもある。
「自分では手探り状態です。ただ、優勝争いの中で自分がどれだけできるかを試してみたくて。今日もあまり良いスコアは出ないだろうと思ってやっていました。パターも自信を持って打っているわけではなく、たまたま入ってくれた感じ。昨年は余計なことばかり考えてしまいゴルフに集中できていなかった。今年は昨年のダメな自分を認めているので、良くなっていくだけなんです。
『どうせダメだろう』と思ってやっているので。スコアが崩れたら崩れたです。でも、悔いのないようにしたい。欲はないです」という溝口英二は、いま、優勝争いの渦の中に入った自分が、どれだけやり通せるかと、自分で自分を楽しみにしている。この経験則がしっかりと自分のものにできれば、溝口のゴルフは、開花するはずだ。