首位と2打差の3位スタートの加瀬のドライバーが、絶好調だ。その理由の一つが「いいドライバーに巡り会えた」ことだ。加瀬のスイング。そこから弾き出されるスピードやスイングの傾向とドライバーがマッチした。特に、アゲンスト風のときでも「昨年までだったらティを低くして低い球筋で攻めようとか考えてやっていたけれど、今回のは、なにもしないで、そのまま打っても風に負けないし、暴れないんですよ」と加瀬は言う。スピン量が加瀬の特性と合致したのだろう。
「ですから、今シーズンは、ずっと調子がいいんですよ。この2年間、結構(ドライバーで)悩まされましたから、その気遣いがなくなっただけでも精神的に気持ちがいいですね」
ドライバーがよければ、その良さがグリーンを狙うショットにもいい意味で伝染する。この日の加瀬のバーディの内訳を見ると、2メートル半、1メートルなどピンに絡みつくショットがいくつもある。
2番、2メートル半。3番、50センチ。4番ボギーのあと8番が2メートルのバーディ。唯一のミスは、9番、パー5でティショットが池に入ったこと。
後半も、14番が1メートル。そして18番が、80センチを入れて、この日5つ目のバーディをもぎ取って、5バーディ、2ボギーの3アンダー。3位タイ。
「アゲンスト風が吹くと、ティを低くして打ったりということを繰り返していると、普通のティの高さで打つことすら怖くなってくるんですよ。そういう悪循環でドライバーショットの調子を崩していたんですね。これ(新しいドライバー)なら大きな細工をしないで済むし、オーソドックスなスイングができるので高いティアップのまま振っていける。自分が理想とするクラブができた。アゲンストでも球が暴れないスピン量の球が打てる。ここ2年間は低いティーアップで凌いできたけど、精神的な安心感が違うね」と、語った。
昨年まで、このコースでは、グリーンの硬さに悩まされる選手が多かった。今年は、そのグリーンのコンディションも最高だ。かなりの選手が、その変容のおかげて、タテの距離感に悩まされた。昨年までの残像があるからだ。「フェアウエイにさえティショットがあれば、そこからはボールが止まってくれる。ラフは、難しいですけどね。だから、ティショットが大きな鍵になると思う」と言う。
加瀬の豪快なドライバーショットが蘇ってくれば、シニアツアーの優勝争いにも、頻繁に加わるに違いない。残り2日間。「この調子が続いてくれれば……」と、加瀬は、しっかりと語った。