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シニアツアー

FR 次の目標は2試合連続V「シニアでの存在感」にこだわる新・春オトコ

2016年04月17日

 悪天候のため、最終日は9ホール(インコース/通算27ホール)に競技を短縮し、コース整備によってスタート時間を遅らせて行われた。

 最終組のスタート時間は当初10時予定だったが、12時30分に変更となった。それを知らずにクラブハウスへやって来た飯合肇は、時間をどう使って良いのかとフロントで嘆いた。大きな声は現役時代と変わらない。しかし、この日の飯合は優勝に最も近い位置にいたことで、気合がプラスされていた。

「18ホールで戦っての(2位と)2打のハンデ(差)が良かった。ミスをしても取り戻せる。でも9ホールだと、そのミスもできないからね。

 前回の7年前の優勝は、雨で最終日が中止になって(09年・富士フイルムシニア選手権)、クラブハウス内での表彰式だったから、ギャラリーの皆さんの前で挨拶できなかった」

 コースまで足を運んでくれたギャラリーの前で優勝スピーチをしたい。その思いを実現するまで7年の月日が流れようとしていた。あまりにも長過ぎる。その間、体を痛めてしまったり、昨年はシード権を落としてしまったりもした。

「春先は調子がいつも良いのに勝てないよな」と師匠ジャンボ尾崎に言われ続けても来た。結果を出さなくてはならない。

 このオフは筋力トレーニングよりも持続できるウォーキングを一日5000歩以上のノルマで行い、3か月間も続けた。「三日坊主にはならず、3か月間続けられたことが凄い」と自画自賛する飯合。結果を求めてではなく、過程に重きを置いた行動が、復活への狼煙になったのかも知れない。

 2ホールめでボギーを打ちながらも3ホールめでバーディーを奪い返してスコアを戻した。そんな飯合にプレッシャーを掛けたのが2打差で追う倉本昌弘だった。2ホールめでバーディーを奪い、残り7ホールでパーセーブ。

 6ホールめで飯合が3パットを打ち、7ホールめから通算2アンダーで飯合、倉本が首位を並走。そのままお互いに譲らず、勝負の行方はプレーオフへと持ち越されたのだった。同3ホールめ、飯合が決めれば優勝のウイニングパットを迎えた。

「この開幕戦は3年連続で昭和37年生まれが制していた。それを聞いて発奮したよ。こうして60代の僕と倉本がプレーオフを戦っている。戦う相手としては最高の相手とまだこうしてプレーできている。このパットを入れたら勝ち!と思うプレッシャーが来る前に打てた。幸せだなぁーと思ったよ」

 ウイニングパットをカップど真ん中から沈め、握りしめた右手の拳を青空に向かって突き上げた。敗者の倉本に近づき、飯合は右手を差し伸べならが労いの言葉を掛けた。「ありがとう」。

 全力を出し切り、戦い切って勝ち取った優勝。プレッシャーから解放された安堵感、そして歓喜。様々な思いが押し寄せる。

「今度は室田(淳)やジョー(尾崎直道)と戦って勝ち、シニアでの存在感を出したいよ。この位置(優勝)に居られるのは調子が悪いわけではないから、息を抜かずに一気に行きます。次の目標は2週連続(優勝)」

 ようやく春先の調子の良さを優勝で証明して見せた飯合。新・春オトコの快進撃は続く。