強風のコースコンディションとスタート前に対峙して、14年大会覇者の中根初男はゲームプランを一考した。
「同組で回る初見(充宣)さんに負けないようにプレーしよう」
レギュラーツアー時代から練習ラウンドを共にして来た先輩プロと、偶然にも同一組でプレーするという大会初日の組み合わせ。一打でも疎かにせず、一打でも少なく回る意識を自分に持たせたのだ。
インコース・スタートの中根は13番ホールでボギーが先行したものの、14番ホールでバーディーを奪取。しかし、15番ホールで再びボギーを叩き、前半は1オーバーでターンした。目標に掲げた初見は1アンダーでのターン。「その差が3打もあって、何とか一打でも追いつこう、1ホールずつ丁寧にプレーしてパーをセーブして行こうと気を引き締めました」。
距離のあるパー4では、寄せワンを想定してプレーした。前々日の練習ラウンドでは、ショートアイアンでパーオンショットを打てたホールが、この日は風向きが逆となり、しかも強風だったことで攻略ルートは一変した。それが中根には奏効したようだ。
「3番ユーティリティーか5番ウッドで打とうか悩みました。それくらい使用クラブが練習ラウンド日とは違う一日でした。無理にパーオンさせず、寄せで拾う。チャンスは確実にモノにする。まずはパーセーブを大前提にプレーしているんです。
実は去年、攻めるゴルフに転じたら、OBショットが出るようになってしまって。それで今年は14年のゴルフに立ち戻って、大人しく、謙虚なゴルフに徹するようにしたのです。それが良かったみたいです」
2年ぶりの大会2勝目に向けた秘策もある。「明日は雨模様のようなのでパターを代えます。雨でも滑りにくいグリップのパターを持って来ているので、明日はそれを使おうかと。まずはこれから練習して来ます」と中根は共同インタビューを終えると、練習グリーンへとすぐに向かったのだった。
中根と同じ1アンダーでフィニッシュしたのは倉本昌弘。「3パットを3回もしてしまった。仕方ないけどね」と結果を素直に受け入れた様子。「練習ができていない中では、普通ですね。普通の出足ができた良かったし、最終日にインコース・スタートにならなくて良かった」と逆転優勝への意気込みは、あえて抑えているようだった。
東聡も1アンダーでホールアウトし、首位と2打差のこの3選手が追う試合展開。シニアツアー開幕戦は、昨年同様に最終ホールまで優勝争いが演じられるのは必至だ。