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〔Report/1R〕酒井柾輝が2アンダー首位初日スタート

2021年10月21日
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 ティーチングプロ日本一のタイトルをかけて120名が戦いに挑む「第23回PGAティーチングプロ選手権大会 ゴルフパートナー杯」の第1ラウンド。矢吹ゴルフ倶楽部の難グリーンに苦しめられる中、酒井柾輝(27・A)が2アンダーで首位。1アンダー2位には大山トギ(37・A)、大木昌幸(50・A)、角田博満(42・TP-B)の3名が続く。同時開催している女子選手権は4名が参加し、高木亜希子(45・B)が76ストローク、4オーバーで首位発進した。

 大会舞台の矢吹ゴルフ倶楽部が牙をむいた。北西5メートルの風、気温13度の寒さ。グリーンは日照時間を重ねるごとにスピードを加速させて行く。大会初日の平均ストロークは76.550。出場選手120名中、5バーディー以上を奪取した選手は、大田剛と酒井柾輝の二人だけだった。大田は1イーグル・4バーディーながら5ボギー・1ダブルボギーと出入りの激しいゴルフで73の1オーバー・フィニッシュ。一方の酒井は5バーディー1ボギー・1ダブルボギー70の2アンダーにスコアをまとめ、単独首位に立った。「(4つの)パー5ホールでバーディーを取れましたし、ボギーピンチを迎えてアプローチとパットが良かったお陰です」。酒井は淡々と応えた。

 東京国際大学ゴルフ部在籍中に、ティーチングプロ資格を取得。大学卒業後にアコーディアに入社し、現在はアコーディア・ガーデン水戸でレッスン業に勤しんでいる。「TCP選手権は自分にとって1年に一度のビッグイベントであり、楽しみなトーナメントです。これまで3回挑戦し、いずれも予選会どまりでした。4回目の今回、初めて決勝大会に駒を進められました」。予選会落ちの理由は、大会初日に大叩きをしてしまっていたからだ。試合ならではの緊張感が、酒井らしさを打ち消す。最大の緊張感に襲われたのは高校2年生の時に遡る。関東アマチュアゴルフ選手権の2次予選会でのこと。通過できそうなスコア、順位だったことから、極度の緊張感に襲われた。開催コースの小金井CCのグリーンが超高速と化した。ボールが止まりそうに感じ、打ち出せない。パターヘッドを振り出せない。パットイップスに見舞われたのだった。様々なパターを試したり、打ち方を変えたりの荒療治を繰り返し、徐々に収まったものの、完治はしていない。「一番の療法は、パット練習をしないことでしょうか。今はアームロックでのストロークでパットしています。試合となると、イップスが燻って来ますが、今日はショットも寄せが良く、パットも決まっていたので大丈夫でした」。

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 アウトコースからスタートした酒井は2、6、9番ホールでバーディーを奪い、3アンダーで後半インコースへ向かった。後半1バーディー・1ボギーで迎えた17番パー3ホールが鬼門と化した。フォローの風向きと読み、170ヤードの距離を7番アイアンでティーショットした。打ち出した瞬間、アゲンストの突風がボールを押し返し、グリーン手前の池に波紋を描いた。痛恨のダブルボギー。「結果的には何十ヤードも距離を間違えたクラブ選択だったということでしょうね」。不運を冷静に分析してみせた。18番ホールはパー5ながらこの日の平均ストロークは5.408。ボギーの可能性が低くなかった。それでも酒井は3打目でピン1メートルに着けてバーディーフィニッシュを決めた。

 「パットが決まってくれるとスコアは出せますよね。明日も流れを掴めたら(優勝)チャンスはあると思います。一打の重みを感じながらプレーするだけです。イップスですか? こればっかり経験を積み重ねて克服するしかないと思っています」。

 初優勝のビッグチャンス。勝利がイップスの特効薬になる違いない。

(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)