2022年の日本プロゴルフ選手権は静岡県三島市のグランフィールズカントリークラブで開催される。「レッスンでもプライベートでもラウンドする機会が多いゴルフ場なんです。ですから、何としてでもこのティーチングプロ選手権で優勝し、日本プロゴルフ選手権の出場資格を手に入れたいんです」。目を輝かせながら、大木正幸は力強くそう話した。
気合いの入った大会初日だった。インコースからスタートし、11番パー3ホールではバーディーチャンスを迎えた。惜しくも外れ、「お先に」のパーパットをあまりにも無造作に打ってしまう。ボールはカップインしなかった。想定外のボギー。(何をやってんだ!)。自らのミスで気合いスイッチが入った。続く12番パー4ホールでは、ピンまで15ヤードの4打目をサンドウェッジでチップインさせてバーディー。バウンスバックすると13番パー5ホールではツーオンを逃したものの、3打目のバンカーショットをワンピン距離に寄せて2連続バーディー奪取に成功。16番パー4ホールでボギーを叩くが、17番パー3ホールで2打目のバンカーショットをカップに放り込んでバーディー。この日2度目のバウンスバックをする。後半は1バーディー・1ボギーに収め、4バーディー・3ボギー71でフィニッシュ。1アンダー2位タイの好位置で最終日を迎える。
「3回の練習ラウンドで一つもバーディーが取れなかったんです。本番に強いというか、気合いスイッチが入るとプレー内容が変わるから不思議ですね。優勝したいんです。2019年大会は2打差の3位タイ。この2打差を縮めるために練習はして来ました」。
静岡県沼津市を中心にレッスンを週5日ほど行っている。残りの2日は休日だが、実家のみかん業を手伝っている。「ゴルフはできませんが、筋トレだと思ってやっています」。19年大会のリベンジ、22年の日本プロ出場に向けて気合いをMAXにして最終日に挑む。「アンダーパースコアで回れるとは思っていなかった初日だっただけに、このチャンスを生かさない手はありませんよね」。大木は不敵な笑いを見せた。本番に強い男の残り18ホールのプレーから目が離せない。