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〔TCP選手権/FR〕高木亜希子がトップを死守し完全Vで女子選手権2連覇達成

2022年10月26日

 「第2回PGAティーチングプロ女子選手権大会 新宝塚カントリークラブカップ2022」(5,730ヤード/パー70)の最終ラウンド。7オーバー首位スタートの高木亜希子はスコアを8つ落としたが、全体のスコアが伸び悩む中、追い上げた山本あいりを1打差で逃げ切り完全Vで大会連覇を果たした。高木には優勝賞金10万円と副賞として新宝塚カントリークラブからゴルフバックとボール、ミドリ安全より腰部保護ベルト一体型ゴルフパンツMIDORI PF1、さらにソニーネットワークコミュニケーションズから、ソニースマートゴルフセンサーが贈られた。

 最終日は、高木にとって一打をかけた激闘の優勝争いだったといっても言いすぎることはないだろう。首位スタートということもあり、トーナメントリーダーの戦いの行方が注目された。前日「この時期に、速くて硬いグリーンというコースコンディションで試合ができるなんて、感謝しかありません。だからこそ最終日は、自分のゴルフで大会連覇をしたい」と、難コースでの戦いに頂上を見据えていた。「速くて硬いグリーン」が髙木の目の前に立ちはだかっていた。

 精神的にも技術的にも不安で一杯だった。「奥につけたくない」と否定的なマネジメントしか頭になかった。出だし1、2番で連続ボギー。4番も精いっぱいのボギー。ショットは曲がるし、パーオンも出来ない。不安だけがよぎる。「フロントナインはチャンスホールが無いんです。ショットが付けば別ですけど、難しいピンポジションでしたし、ボギーでも良し、ダブルボギーだけは避けようとすがる思いで、6番から4連続ボギーも耐えました」と振り返った。9ホール終えて42ストローク、7オーバー。前日作った貯金はすでに消化していた。

 フロントナインに比べて、バックナインは距離も短くスコアを伸ばすチャンスがある。高木はハーフターンの時に「悪くないペース。パーオンを守ること。パーオンを作ること」と気持ちを切り替えた。1打ビハインドの接戦が5ホール続き、一打たりとも気が抜けなかった。15番パー5で痛恨の3パットボギーにしてしまうと、山本あいり選手に追いつかれた。残り3ホールは自分との戦いだと、高木は再び気を引き締めた。17番パー4のセカンドショット。同伴プレーヤーは2段グリーンの下段につけただけと知り「私はぜったい上段を狙う」と心に決めて大き目のクラブを選んだ。ボールは上段のグリーンを捉え、ピンまで1メートル半の距離につけてバーディーを奪取。トップの座を取り戻すことに成功した高木が、最終ホールもパーでしのいで、念願の2連覇タイトルを獲得した。

 「素晴らしいコースコンディションの中、グリーン勝負となりました。2打差3打差は簡単に順位がひっくりかえります。だからこそ順位を意識せず、自分のプレーに集中する事だけが求められました」と振り返った。「大会連覇は簡単なことではないことを覚悟していました。だからこそ自分が連覇するんだという強い気持ちはずっと持っていました」。高木は所属コースのPGMマリアゴルフリンクスに週6回勤務し、月15回はラウンドレッスンに携わる。昨年大会を制してから連覇を目標に練習を重ねてきた。ラウンド実践経験、練習量だけは誰にも負けないという自信もあった。

 インタビュー後、高木は携帯電話のパネルを触りながら「先に優勝報告したい人がいます」と携帯画面を耳に当てた。かけた先は師匠プロゴルファー西川哲だった。「西川プロのレッスンをお手伝いさせていただいて、その中でたくさん勉強させていただいています。ツアープロの経験から出てくる言葉は、レッスンでは生きることが多いのです。自分のゴルフの参考にもなっていますし、こういう結果を報告できるだなんて幸せなんですよね」と声を弾ませた。

 髙木にはもうひとり、研修生時代からお世話になっているという師匠がいる。シニアツアーに参戦している南崎次郎だ。「次郎さんからも早速、祝福のメッセージをいただきました。実は来週のコスモヘルスシニアで帯同キャディさせてもらえるんです。新しい発見がきっとありますよね。そして、今回の優勝という報告を届けられるのも楽しみです」。

 ゴルフは常に人を通じて成長させてくれる。高木は2人の師匠との出会いがあったからこそ、こうして大会連覇したいというモチベーションも高くもっていられた。「家族や所属するゴルフ場、周りでお世話になっている人たちのおかげで優勝できました。次の目標になる大会3連覇に向けて、練習を重ねていきます」。高木は丁寧に選んだ言葉を噛み締め、さらに自分をブラッシュアップすると誓った。