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<TCP選手権・FR>人生初のプレーオフを制して澤口が掴んだティーチングプロのタイトル!

2017年09月22日
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 首位と2打差の通算1アンダー・4位タイからスタートした澤口清人(36・B級)が、4バーディー・1ボギー69で回り、通算4アンダー・首位タイでフィニッシュ。河野とのプレーオフ1ホール目でバーディーを奪い、第19代のティーチングプロ選手権覇者に輝いた。最終組でラウンドした澤口はハーフチェックの際、自分を含めた最終組の3人が通算3アンダーで首位の座を分け合っていることを知った。リーダーズボードや速報板が設置さていない試合だったことから「とにかく同伴競技者よりも一打上回るスコアで回ったなら、(優勝)チャンスがあるかも知れない」と考え、澤口はバックナインへと向かった。

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 スコアを伸ばすことも落とすこともなく迎えた17番パー3ホール。ティーショットは辛うじてグリーンカラーにしがみ付いてくれたものの、ピンまでは10メートルもの距離があった。2パットで収めれば御の字だと思ったが、キャディーが的確なアドバイスをくれたことで、ファーストパットのラインが明確に見え始めた。打ち出したボールは、思い描いたパットラインに乗り、心地よい乾いた音を奏でる。バーディー。最終ホールのパー5を前にしてのバーディー奪取で、気分よくティーグラウンドに立てた。

 スコアの貯金が出来たことで気が緩んだわけではないが、澤口のドライバーショットはフェアウエイ右サイドの林に吸い込まれた。レイアップで3打目勝負か。

「同じ組で回る河野さんは飛ばし屋なので、ツーオンはするだろうなと思っていました。それだけに自分は何としてもバーディーだけは獲っておきたい気持ちが強かったんです」。 

 最悪のロストボール、アンプレヤブルをも覚悟しながら林へと歩を進める。最悪は避けられた。林の中のボールが見つかった。しかも予期せぬ幸運にも恵まれた。ボール前方から光が差し込んでいる。

「信じられませんでしたが、木と木の間に上方に的のような空間がポッカリ空いていたんです。ピッチングウェッジで打ち出せると直感しました。ラッキーでした」と澤口。

 2打目のリカバリーショットでボールをグリーン手前110ヤード地点まで運び出し、3打目を48度のウェッジでグリーン右奥に乗せ、2パットで沈めてパーをセーブ。想定通り、ツーオンしていた河野。だが、イーグルパットを決めきれず、バーディーでフィニッシュ。通算4アンダー・首位タイの澤口と河野がプレーオフで覇を争うことになった。

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「プレーオフは初めての経験でした。勝つか負けるか。そのどちらしかないので、緊張はしませんでした。でも、またしてもドライバーショットをミスしてしまいましたね」と澤口は苦笑い。ティーショットの落し所であるフェアウエイに配された木にボールが当たってしまったのだ。ボールは木の根元に鎮座している。

「河野さんはフェアウエイ中央に打っていたので、ツーオン確実。2打目で少しでもグリーンに近づけ、3打目でバーディーチャンス圏内に着けるしかない」と開き直り、3打目をカップ左横1・5メートルに寄せた。

 河野のイーグルパットはカップ手前80センチで止まった。澤口はスライスラインだと読んだが、キャディーが声を掛けて来た。「見た目ほど切れませんよ」。改めてラインを読み直すと確かに切れそうには見えない。ストレートにパットラインを想定し直して打ったバーディーパットは、カップど真ん中から入った。

 プレーオフ2ホール目のドライバーショットこそ、フェアウエイを捕らえてやる!そう思いながら河野の80センチのバーディーパットを澤口は見つめた。ボールはカップに蹴られ、その瞬間、澤口の初優勝が決まった。河野はヘッドアップし、ボールを押し出してしまったのだった。 

 この優勝で澤口は来季の日本プロゴルフ選手権出場資格を得た。

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「優勝できて本当に嬉しいのですが、まさか日本プロに僕が出られるなんて…。ツアー出場もしたことが無いんです。日本プロに向けて、もっともっと練習します」と気を引き締めた。日頃お世話になっている狭山ゴルフ・クラブの支配人やスタッフへの恩返し代わりに、「この初優勝の朗報を早く届けたいです」。その言葉から、真摯で律義な澤口の性格が伝わって来た。

(PGAオフィシャルライター 伝昌夫)

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