大会最終ラウンド。選手は難グリーンに悩まされスコアが拮抗する中、13位スタートの小川厚(46・TP-B)は9バーディー3ボギーと6つスコアを伸ばして首位を逆転。2位に3打差をつけて大会初優勝を飾った。小川は優勝賞金とゴルフパートナー順位賞を合わせ130万円を獲得。さらに来年日光CCで開催される日本プロ選手権大会の出場権も手に入れた。
通算1オーバー・13位タイからスタートした小川厚が最終日のベストスコア66を叩き出し、逆転優勝を飾った。
「首位との3打差を1ホールでも早く縮められたなら、優勝できる。そう考えていましたが、まさかの結果になって内心ビックリしています」と小川は振り返る。
1番パー4ホールで2メートルのバーディーチャンスを早速作る。確実に1パットで決めると2、3番ホールでもワンピン距離のバーディーパットをねじ込んだ。ロケットスタート。3連続バーディー奪取で首位との差を帳消しにして見せた。さらに5番パー5ホールではイーグル逃しのバーディーで上昇気流に乗ったように思われた。
しかし、7番パー3ホールのティーショットをグリーン右手前バンカーに打ち込み、寄らず入らずのボギーを叩いてしまう。
「9番(パー4)ホールでバーディーを奪った時に、逆転優勝がチラつきました。そのせいもあってか、10番ホールで3パットのボギー。前日もボギーを打ったホールです。でもボギーを打ったことで落ち着けたというか、自分を取り戻せたように思います。パーオン2パットのパーセーブ。それがスコアメイクの基本だと常日頃レッスンしているのですから、それを自分が実践しないでどうするんだ!って…」。
3パットのボギーで目覚めた小川は、11番パー5ホールでバーディーパットを決めてバウンスバックし、その後はパーセーブを続ける。17番パー4ホール。難易度1位のホールを迎え、ティーグラウンドに上がる際に2位に3打差を着けての首位であることを確認した。パーオンできず、3打目の寄せを打つ際はボギーを予め受け入れて臨んだ。2位と2打差で迎えた最終18番パー5ホール。フェアウエイキープを最優先させたドライバーショット、2打目のアイアンショットで3打目はピンまで残り100ヤード。確実にグリーンキャッチさせようとウェッジでフルスイング。ボールはピン4メートルに乗った。ストレートライン。インパクト音がしっかり聞こえるパットでバーディーを奪う。「入った!」と叫びながら、小川は右拳を力強く握り締めたのだった。
見事な逆転優勝を飾った小川は、来年2021年に開催される日本プロゴルフ選手権の出場資格を手に入れた。自身にとって2013年以来、2度目の挑戦となる。
「これまでツアーには日本プロや関西プロ、福島オープンなど4試合ほど出場した経験があります。すべて予選落ちでした。その雪辱も含めて来年の日本プロではティーチングプロの代表として、決勝ラウンドに駒を進めたいです。もちろん、所属コースでの週2、3回のラウンドレッスンとマスター室業務をしながら、自分のゴルフも更なるレベルアップを目指します」。
優勝インタビューを終えると昨年大会覇者の阿部真太郎が祝福の肘タッチを求めた。「来年の日本プロでは、一緒に練習ラウンドをしよう」と互いに約束。二人揃って「目指すは予選通過!」と誓い合っていたのが印象的だった。