アウトコースからスタートした藤波尚は、195ヤードの3番パー3ホールでパーオンに成功した。バーディーパットは8メートル。「ハウスキャディーさんは、さすがにグリーンを熟知していて、ラインを読み切り適切なアドバイスをしてくれる。その言い方が自信タップリなので、僕もそれを信じて打ったら入ったんです」。
ティーショットは確実にフェアウエイをキャッチし、パットに集中できる。さらにキャディーのラインの読みが完璧となれば、スコアを伸ばせて当然かも知れない。9番パー4ホールではピン奥からの下りラインをしっかりねじ込んだ。「ここに打って来て!ときめ細かいライン読みを信用してパットしたら、カップインです。キャディー様様でした」と藤波の笑顔が弾ける。
後半に入ってからは11番パー5ホールでツ2オンし、2メートルのイーグルパットを沈めて4アンダーにスコアを伸ばした。このまま順調なフィニッシュを迎えるはずだったが、17番パー4ホールでのティーショットを左に大きく曲げてボギー。最終18番パー5ホールでは不運に見舞われる。ティーショットがラフに捕まり、ライの状態をチェックするとボールの左サイドに泥がこびり着いている。「ボールはターゲットラインよりも右に曲がる可能性が大」と予測し、藤波はピン方向よりもさらい左方向にショットラインを設定したのだった。
しかし、その予想は見事に裏切られる。ボールは右方向には曲がらず、真っ直ぐ飛んで行ったのだ。さらに想定以上に飛距離が出てしまい、サブグリーンのガードバンカーに捕まる。ピンまでは距離があり、3打目は本グリーンのガードバンカーに入ってしまった。バーディー奪取を計算したホールで痛恨のボギーを叩き、2バーディーでのフィニッシュとなった。「グリーン(スピード)が速く、ライン設定に迷うところですが、キャディーさんと自分のライン読みが合致し、イメージしやすかったので本当に助かりました。この(首位タイ)チャンスを無駄にしたくありません」。藤波は18年大会で5位タイ、昨年大会では8位タイの成績を残している。「2カ月前にアドレスを見直し、アライメントを修正してスクエアアドレスに戻してからショットの調子が上向きになりました。今年こそ勝ちたいです」。
3度目の正直に向かって、藤波は準備を整えた。明日の「勝負の18ホール」で結果を出すしかない。